sweet temptation like a box of chocolate<甘い誘惑> 2 イケメンは写真で見るより何倍も格好よかった。 俺たちを見て爆笑しているが。 くそぅ。爆笑しても絵になるぜ。ていうかイケメン滅びろ発言が聞かれていたという事だろうか。 そう思ってもう一度見ると目が合ってしまった。口の端をにっと上げて笑われる。 途端にまた悲鳴があがる。 肘をついてはぁ、とため息を吐くと水無瀬がこちらにもたれかかってきた。 振り向くといたずらっ子の顔をしていて、 「怒られちゃったわね」とオネエ風に言う。 思わず笑ってしまった。 その時緒方が目を見張ったことにはきづかなかった。 「さぁ、今日は皆が楽しみにしていた緒方先生の講習会です。一限目は座学、二限目は実際に先生の作る所を拝見します。そして昼食を挟んで実習です。最後に先生のお店で出していらっしゃるケーキが頂けるということですので、皆さん気合いを入れて頑張ってくださいね」 教室が盛り上がる。 俺もなんだかんだ楽しみにしていたので、ケーキが食べられるというサプライズに余計テンションが上がる。 緒方が一歩前に出る。途端に静かになるのはさすがである。 「緒方 尊です。知ってくれている人もいるかな?」 もちろん皆が知っていますとも。 「実はこの街が僕の出身地なんです。だから初めて店を出すのもこの街でって決めていました。思い出がたくさん詰まっている街だからね。 僕自身は専門学校を出ていないので、こういう場所には慣れていません。だから肩の力を抜いて気軽な感じで接して貰えるとうれしいです。一日一緒に頑張りましょう」 めっちゃいい人そうではありませんか。 滅べとか言ってごめんなさい。神様、仏様、緒方様!この街が出身地とか親近感です。 もちろん皆感動している。 ちょうどチャイムが鳴ったので、「では座学を始めましょう」と田中先生がテキストを配りだす。 もたれかかっていた水無瀬も前を向いたので、一度伸びをしてから授業の態勢に入った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |