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月明りで照らして
腐れ縁
「つーちゃんおはよ。今年も同じクラスで千秋幸せー」

「千秋、朝からそのテンション鬱陶しいから」

「もーっ、つーちゃんてば冷たいんだからっ」

そう言ってほっぺをハムスターの様に膨らませているのは相田千秋(あいだ ちあき)。こんな喋り方だしこのテンションだからチワワの様な美少年でも想像してしまいそうだが現実はそううまくはいかない。
千秋なんてかわいい名前なのに目の前で目をうるうるさせているのは誰がどう見ても不良。しかも身長は185cmの細マッチョなのだ。
もちろんギャップ萌え、なんて俺は思わないからね。


「相田、また今年も同じクラスかよ。腐れ縁にも程があるだろ」
さり気なく隣に来ていた悟が心底ダルそうに言った。

「げっ、古賀も一緒かよー。まじか、今年もつむぎちゃんを独り占めはできないのか」

「三年間同じクラスだなんてもはや腐れ縁だな。いやいつかつむぎを独り占めできると思ってる時点でお前自体が腐ってるな。」

睨み合う二人はなんだかんだ仲がいいのだが、如何せんどちらも中々の美形であるため迫力があり周りが引いている。


「お二人さーん。仲良いのは素晴らしいんだけどさ、新しいクラスなんだからこの夫婦漫才に免疫ないんだって。みんな引いてるから」


「「 仲良くないから!!」」


.....いや、息ぴったりだから。



「あ、そろそろ講堂に行かないとな。始業式始まるぞ」

そう言うと悟は俺の腕を取った。

「じゃあつーちゃん行きましょか」

そう言って千秋も反対側の腕を取る。なんか連行されてるみたいなんですけど。


取り敢えず腕を解放してもらうと二人は俺の両側を歩く。これが俺たちのいつものパターン。ちなみにポジションは右に千秋、左に悟だ。一年の頃からこれが定着してるから左右が派手であろうと落ち着くのだ。


廊下を進んで行くと周りからは「古賀様、今日もかっこいい」とか「相田様ワイルド!」とか「あんな風にナイトに守られたい」とか色々な声が聞こえる。
毎度の事ながら悟は分かるが千秋のどこを見たらワイルドとか男前とか思うのか疑問だ。イケメンではあると思うが、どう見てもワンコだろう。この耳と尻尾が見えないのかな?


「つむぎ様今日も麗しい。」
「麻生様益々色気が.....」


.....誰か気のせいだと言ってくれ。


やっと講堂に着いた時には始業式が始まろうとしていた。



「「「きゃー!!!」」」


地面が揺れる程の歓声が上がったかと思うと、壇上に見慣れた姿が現れた。

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あきゅろす。
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