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頂き物
愛を込めて(守花様フリ小説)
切な恋人の誕生日。
白銀は昶のために雰囲気のいいレストランで食事をしようと思っていた。
昶はまだ未成年で飲酒を許すことは出来ないが、きっと楽しんでくれると思って。
しかし、そのプランを本人に発表したところ却下されてしまった。
堅苦しいのは嫌だといって、それなら他に希望はあるのか聞いたら、一緒にいてくれるならそれだけでいいと可愛い答えが返ってきた。
普段なかなか素直にならない恋人の本音を聞けて、嬉しい。
抱きしめて、当日は自分の家で過ごすことを提案すれば昶がはにかみながら笑う。
了承の意味だ。
約束のキスを交わせばさらに赤くなる顔。
その顔と先ほどの言葉、我慢できるほど白銀は真面目な大人じゃなかった。

そして12月11日。
昶の誕生日。
白銀の部屋で彼が作った料理や少量のアルコールを摂った後、リビングの質のいいソファーに昶は身を委ねている。
外では許してもらえない飲酒も、誰も見ていない場所でなら白銀は多少許してくれる。
白銀は昶に甘い。
昶自身が酒を飲みたいと言った訳ではないが、常に昶を喜ばせたいと考えている白銀は昶の興味の対象まで把握している。
一つ大人になったお祝いに、口当たりのよいワインを用意したのだった。

「酔ったみたいですね」

食卓を片づけ、キッチンに入っていた白銀が昶の隣に腰を下ろす。
片手には水の入ったグラス。
それを昶へと渡すが彼は受け取らない。

「水を飲んだ方がいいですよ」
「いらない。平気…」
「だーめ」

そうは言うが昶にグラスを渡すことは諦めたらしく、代わりに自分がグラスに口をつけ傾けた。
昶はその様子をただぼんやりと見ていたが、気付けば白銀の顔が近い。
そう思った時には口づけられ、舌で閉じた唇を割られ水が流れ込んでくる。

「んぅ」

こくりと水を飲み込む。
冷たいそれはアルコールで少し霞がかった思考をはっきりとさせてくれた。

「まだ飲みますか?」

白銀がやらしい顔で聞いてくる。

「自分で飲める」

アルコールのせいだけではない赤い顔を背け、白銀からグラスを奪い取った。
くすくすと小さく笑う声が聞こえて横目で睨んでみても効果はない。

「すみません。あぁ、そうそう。大事な物を忘れるところでした」

非難めいた昶の視線から逃れるように一度席を立った白銀は、自分の鞄から何か包みを持って戻ってきた。
四角いそれは文庫本くらいの大きさだろうか。

「誕生日、おめでとうございます」

言葉と共に差し出されたそのプレゼント。
昶はグラスを置いて、照れくさそうにそれを受け取る。
白銀の了承を取りその場で開けてみれば中にはペンダントが入っていた。
ペンダントトップは二枚のプレートが重なっている。
一枚目にはクロス型のホールが開き、二枚目にはプレートを重ねた時ちょうどクロスの真ん中にくるよう宝石が埋め込まれていた。

「タンザナイト、12月の誕生石の一つですよ」

それは白銀の瞳よりも深い青色。夜へと移る空の色に似ていた。

「ワタシの愛も一緒に貰ってくださいね」

冗談めかして白銀が言う。
二枚目のプレートには、石を囲むように“With all my love  A to S”と刻まれていた。

「白銀」

ペンダントから白銀に視線を移した昶は彼に手を伸ばす。
その手が頬に触れ、唇が唇に触れた。

「君からキスなんて、珍しいですね」
「…お礼だ。“愛を込めて”」

それはプレートに刻まれた言葉と同じ。

――――――
守花様から強奪してきました☆
砂糖吐けるくらい甘い文章に酔いしれましたよ!
素晴らしい物をありがとうございました!

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