苦界の躾 出掛ける2※ 次につれてこられたのは玄関が豪華に装飾された店だった。クラブと言う奴だろうか。アイは周りを見ながら翁について中に入った。 受付らしいカウンターで一言二言注文をすると、案内役らしい男が出てきて翁を先導して歩き出した。アイは慌てて付いていく。 「ごゆっくりどうぞ」 案内役の男は部屋の前で居なくなった。翁はドアを開けて部屋に入る。アイもそれに続いた。 部屋はやたら赤い装飾が施されていた。壁も床も家具も全て赤い。そこに、黒いボンデージファッションに身を包んだ女性が居る。 「いらっしゃいませ。お久しぶりね、おじいちゃん」 「そんなに久しぶりかのう?」 赤い部屋に気圧されているアイのことなどほったらかしで、翁は赤いソファに座った。 「久しぶりよぉ。……で、その子が今日の玩具?」 翁は頷いた。女性が、アイに近づいてくる。 「綺麗な顔ねぇ。でも、なぁにこの赤い痕は」 微笑みながら女性はアイの髪の毛を鷲掴みにし、ソファの前まで引っ張って行った。そして、ものすごい力で床に叩きつける。 「うあぁっ!」 手が使えないアイはとっさに受身も取れず床に崩れた。 「静様とお呼びなさい、坊や。」 静と名乗った女王様は、黒いピンヒールのかかとでアイの背中をぐいぐい踏みつけた。 「返事は?」 「はいっ!静様!」 突然の出来事に涙目になりながら返事をすると、静は満足そうに笑った。 「イイコね。……脱ぎなさい。あなたの体を私に見せるのよ」 仰向けにひっくり返されて、アイは首を振った。手が使えないのでどうにもできない。それに気が付いた静は舌打ちをしてドアの方に歩いて行った。ドアの側についている受話器をとり、どこかに連絡を取った。 少し経つと、駒形のように体格のいい男が二人、部屋に入ってきた。 「……この子の服を脱がせて。乱暴にしちゃっていいわ」 わかりました、と返事をした二人の男は、さっそくアイの服を脱がせにかかった。一人が体を押さえつけ、もう一人が乱暴に服を剥ぎ取る。ティーシャツは破かれてしまった。最後にズボンを脱がせた所で、見ていた静が笑った。 「あらぁ、いいもの付けてるのね。それでお漏らししちゃったの?びちょびちょじゃない」 静の嘲笑が部屋に響き、アイは恥ずかしさに目を瞑った。 「それも取りなさい」 男たちに指図して、静は部屋の隅の道具箱から何か取ってきた。バイブを抜いた男に、それを投げる。 「それを付けてあげたら、……そうね、おじいちゃん?どんなのがお好みかしら?」 翁は静に尋ねられ、首を傾げた。 「そうじゃな、尻穴を犯されるところが見たいのう。」 「分かったわ。」 静の笑みは冷たかった。アイは怯えながら、ペニスの違和感に戸惑っていた。先ほど静が男に投げたのは、皮の輪がペニスと睾丸を締め付ける拘束具だったのだ。 「お客様は強姦劇をご希望よ。坊や、かわいい声で叫ぶのよ」 翁の言葉を受けた静が、床に転がっているアイを爪先で蹴った。 「あなたたち、やりなさい」 アイを何度も蹴りながら、男たちに言う。男たちは目配せをして、役割を決めたようだった。 「いやっ……いやだっ!」 「あら、かわいいのね坊や。女の子みたい」 男がアイの脚を強引に割り開く。片手でズボンの前をくつろがせると、彼は既に勃起していたペニスを取り出した。 「やーっ!ヤダっ!やだぁあっ!!」 出掛ける前に注入した潤滑ゼリーが残っており、男がペニスを押し付けるとアイの肛門はすんなりと太いそれを受け入れた。 「意外とすんなり入るんじゃない。いいおしりね。ヴァージンなの?」 静は翁を振り返った。 「さぁな。もしかするとそうかも知れん」 「……まぁ、どっちでもいいわ」 アイは下唇を噛んで、痛みと拡張感に耐えていた。 「んっ、んん……」 「ガンガン犯してあげなさい。あなたの精液で、この子の体を汚してあげるのよ」 そう言われた男は従順にはいと返事をして、強烈な抜き差しを始めた。直腸を犯される強い嫌悪感にアイは暴れようとしたが、もう一人の男に強く押さえつけられているせいで叶わない。 決して痛いだけではない。むしろ、直腸への刺激は気持ちいい。しかし初対面の男に犯されて喘ぐなんて嫌だ。しかも翁の楽しみでそんなことをされているのだから、なおさらに。 「気持ちいいなら喘ぎなさいよ。あんたのチンポは正直よ?もうビンビンじゃないの」 嘲笑混じりに言って、静はアイのペニスを爪先で突付いた。勃起しているもののペニスに巻きついた拘束具のせいで角度が付かず立ち上がらない。 「このベルト、いいでしょ?射精が長くなって気持ちいいんですって。まぁ、痛いけど」 「やっ……だ、」 静が与えるペニスへの鋭い刺激と、先ほどから男が続けている激しい抜き差しで、アイは息があがっていた。しかし声は漏れない。静かは不満そうに目を細めた。 「声も出ないの?嫌な子ね」 そう言ってアイのペニスを踏みつける。 「いいぃっ!!」 「もっと鳴きなさい!」 静のヒステリックな叫びに、アイの理性の糸が切れた。 「あーあぁぁっ!あ、はっあぁ!!」 「あははっ!イイコね!」 スイッチが入ったように喘ぎ始めたアイを見て、静は嬉しそうに笑った。尖ったヒールで腹を踏みつけて、さらに笑う。 「いっ、ぁあ……ん、も、もう……」 「もうダメなの?でもまだいけないはずよ。そのベルトが邪魔するもの」 助けを求めるようにアイは静を見上げたが、意地悪い笑みが返ってくるだけだった。言われたとおり、もう射精してしまいそうなのに、なかなかそれが訪れない。 「もっと鳴いてちょうだい。かわいらしくね」 視界が白むような快感が、先ほどからずっとアイの体を支配している。静の言葉など耳には入らず、アイの頭はただ射精を求めるだけだった。 「いかせて……、いかせてよ、」 荒い呼吸の中で声を絞る。翁は髭を撫でながら、目を泳がせているアイの顔を眺めていた。快感に乱れても綺麗だ。それに、ここ数日でかなり表情に艶が出た。初めは遊ぶだけ遊んでさっさとどこかにやってしまおうと思っていたが、だんだんとそんな気持ちは薄れてくる。乱れさせれば乱れさせるほど美しくなるのだから、いつまでも眺めていたくなってしまう。 「あぁぁ、あああぁんっ!いきたっ……いきたい!!もう、やっ……ぁだっ」 「仕方ない子ねぇ」 静がアイの胴に跨った。そして、官能的なくちづけを与える。 「ん、ふうっ」 唇を離すと今度は耳を刺激する。右耳を口に含み舐め回す。 「いぃ、ん、いっ・・・!!」 「あら、耳が好きなのね?」 舌で耳の穴をかき回されて、アイは腰にビリビリと強い痺れを感じた。それが直腸や前立腺への刺激と相まって、射精欲をより強くさせた。 「もっ……いきたぁっ!」 射精できない辛さに涙がこぼれる。 「に……しき、さん……、あ、い、イク、いきたいっ!みつひこさんっ!!」 目を瞑り自分が置かれている状況を無視し快感だけを追うと、自然と錦が思い浮かんだ。 翁は一瞬目を見開いたが、何を思ったのかすぐにニヤリと口を歪めた。 「いかせて!いくっいくうっ!!」 開放される、と感じた瞬間アイはその違和感に気づいた。 「いっ……いあぁっ!!」 開放は痛みを伴った。伴っていたと言うよりはそれ自体が痛みだったと言ったほうが的確かもしれない。 「いたい!いたいっ……い……うわああぁあぁぁぁ!!」 アイの悲鳴は断続的に、ペニスから精液が噴出してくるたびに空気を震わせた。余りの痛みに体が痙攣する。助けを求めて目を開いたが、視界は真っ白だった。震えの止まらない手が、誰かの手を掴んだ。アイはそれをきつく握りしめて、痛みの余韻をやり過ごした。 確かに痛かったが、射精が長続きする感覚は今までにないものだった。快感になり得る痛みだと、心のどこかでは確信していた。 「いっちゃったの?あなた本当に男?男なんでしょ?」 アイから離れていた静は、そう言いながら戻ってきた。 「男のくせに男に犯されてあんなに気持ち良さそうにして。いっそ男捨てちゃいなさいよ」 静がペニスに息を吹きかけたので、アイは自分が男なのだと言うことを意識した。今自分が自分を男だと確認できるのは、ペニスがあると言う事実だけのような気がする。 「私が男を捨てさせてあげる。今日からあんたはチンポ持ってるだけのヒトね」 アイを囲んでいた男を除けると、静は脚の間に立った。そして太ももを踏みつける。 「四つん這いになりなさい」 言われたとおりに四つん這いになり静に尻を突き出した。 「いい?あたしが犯してあげる」 膝をついた静は、擬似ペニスを装着した股間をアイの肛門に寄せた。その擬似ペニスはレズビアンプレイ向けのもので、静の側にも突起がある。 静はアイにペニスを突き刺した。 「うっ……あ」 「ん……イイコね」 挿入したことで、静のヴァギナに入っているほうの突起が角度を変えた。静の表情が快感に溶ける。 「ぐちゃぐちゃにしてあげるわよ」 アイは静が女だと言うことを頭の中で再確認していた。胸の膨らみがあったし、声も女性のものだった。顔も女性らしかったし、脚も男性のようにごつくはなかった。アイはのんきに、女でも男を犯せるんだなと思っていた。男としての自覚なんて、この前錦の前で捨てた。しかしこうして女性にアヌスを支配されてみると、妙な喪失感がある。本当に男ではなくなったような気分になる。 「ん、んぅっ、」 「もっと鳴いていいのよ」 静も感じているらしく、腰の動きが激しくなっていく。 「ああぁん、んんっ、ん……ふぅっ……しずかさまぁ」 無意識に、自分を犯している静の名前を呼んでいた。 男ならもっと能動的じゃないとならないんじゃない。女の股にブチ込みてぇって思うんじゃないですか。いつかの錦と駒形の言葉が脳裏によみがえった。男の自分が女にぶち込んでもらって喘いでいる。能動的どころか、静を誘って腰を振っているくらいだ。全く逆だ。 「しずかさま、もっと、もっとしてください……!」 「いいわよ……。私も感じてきたわ」 静に求め始めたアイを見て、翁は肩を震わせて笑っていた。肛門を慣らされていたからと言って、これ程までにすんなりと女性に犯されることを受け入れてしまうとは。従順な奴隷になれることは間違いなしだ。 「あぁっ、ダメッ、オレ……」 アイの腰がビクンと震えた。静もアイを突き上げるたびに快感にヴァギナが痙攣しているのを感じている。 「どう?女に犯されてる気分は?」 「……ん、いい、イイです!」 「素直なのね。もっと声を聞きたくなっちゃうわ。」 そう言うと、静はアイの奥まで猛烈な抜き差しを始めた。 「いいぃぃいぃっ!ひっいぃぃいっ!!」 「坊や、もっと鳴いて!あたしも感じる!」 静に求められ、アイは喉の奥にくすぶる息を全て声に変えた。 「もう、坊やは、感じさせるのが、上手、ね」 「ん、ぐぅぅぅっ!しずかさまぁあっ!」 二人はどんどん昂ぶっていく。 「いかせてあげる!最高の声で鳴くのよ!!」 体を貫かれるのではないかと思うほど強く、静はアイの直腸の奥を突いた。 「いっ、あぁっ、うぅあぁぁぁあっ!!」 「んぅうんっ!!」 アイは背をのけぞらせて、静はその背中にしがみついて、二人同時に絶頂を極めた。射精にはまた痛みが伴ったが、今度は先ほど予感したとおりその痛みに快感を覚えていた。静にしがみつかれ、再度彼女が女性だと言うことを確認する。 すっかり服を着せられて立たされると、翁がソファに座ったまま聞いた。 「女に犯される気分はどうじゃった?」 アイはぼんやりとその言葉を反芻した。そして、答えを探す。 「……気持ち、良かったです」 「それだけか?」 うんと頷くと、翁は立ち上がった。 店の玄関まで静が見送りにきて、また来てくださいねと声をかけた。それに軽く返事をして、翁はゆっくりした足取りで車に向かって行った。 翁の後ろを歩きながら、アイは女性に犯されたことについて考えていた。女性からでも男性からでも犯されるという立場は自分にしっくりくるような気がする。女性とのセックスが今までうまくいっていなかったのも、性に合わないからだったのかもしれない。 翁の車に乗ると、体が重いような気がした。疲れが溜まってきたのだろうか。会社に勤めていたときよりもずっと、短時間でどっと疲れる。 駒形の地下室に戻るや否や、アイは長座布団に倒れこんで眠った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |