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苦界の躾
産卵※
体はまだ痛んでいたが、夕方になると駒形に地下室に連れて行かれた。

「……ベッドを貸すのは、これきりだからな」

そう言われて、アイはわかってますと答えた。この地下室に来ると、自分が監禁されていることを意識させられる。薄い灯りだけの部屋は、いかにも監禁部屋という雰囲気があるからだ。

「本当になにも食べなくてよかったのか?」

アイを置いて出て行く際に、駒形が少し心配そうに聞いた。それに頷いてみせると、駒形は黙って部屋を出て行ってしまった。
また独りになる。別に、今まで誰かと眠ったりしていたわけじゃないけど、独りは淋しい。かと言ってあの老人や落合がいても嬉しくはないが。錦に早く会いたいと、思った。
しばらくして、部屋に入ってきたのは落合だった。

「すごい痕だな」

アイを見ての第一声は、翁が殴った傷跡の感想だった。アイはそっぽを向いた。

「お前はね、そうやって突っかかるからそんなになったんだよ」

あんたが勝手に切れたのが悪いんじゃないかと、心の中で反論する。

「何か言いたげじゃないか。まぁいい。今日もかわいがってやる」

落合は鞄をアイの側に置いた。アイは昼間、正座が意外と楽だと言うことを発見して、コンクリートの床の上に正座をしていた。

「誰かに引き取ってもらうにしても、主人への奉仕は上手にできないとな」

そんなことを言いながら、落合はアイの前に立ち、ズボンの前をくつろがせた。アイは嫌な予感がして、顔をそらす。

「しゃぶれ」

アイは逃げようかと思ったが、髪の毛を掴まれていたので逃げられなかった。

「できるだろう?」

渋るアイの目の前に、ペニスを下着から取り出す。鼻が触れてしまいそうなほど近くにあり、男の匂いを強く感じた。いい匂いではない。

「ほら。早くしろ!」

髪の毛を強く引っ張られて、アイはしぶしぶその先端に舌を這わせた。そこ特有の嫌な匂いがする。それを我慢しながらいくらか舐めていると、少しずつ硬くなっていった。

「慣れたもんじゃないか。……ほら、咥えろよ」

半勃ちになったペニスを顔に押し付けるようにされ、アイは手でそれを持ち上げて口に含んだ。竿に唾液を塗りつけるつもりで根元まで咥え込むとそれはピクピクと震えて硬さを増した。いったん吐き出して、亀頭の部分だけまた口に含む。唾液に濡れた竿には両手を添えた。
アイの手つきは慣れたものだ。自分にもある物だが、突き出されて簡単に咥え込める物でもない。されたことがあるとしても、それをそのままやって見せることは簡単なことではない。実際に経験があるとしか思えなかった。

「……それも錦が教えたのか?」

少し不機嫌な声で、落合は聞いた。それに、アイは少しだけ首を振って答えた。亀頭を含んだまま首を振ったので、ペニスがゆるく揺れた。
落合は黙っている。答えに満足したのだろうか。アイは、匂いを意識しないようにしながらフェラチオを続けた。

「うまいな。慣れた舌使いだ」

そのとおり、アイは的確に感じるところを愛撫していた。亀頭を舐める舌も迷いなく動いている。
練習と称して何度も咥えさせられるのは嫌だと思い、アイはあえて本気で落合を慰めることにしたのだった。落合に指摘されるとおり、アイは慣れてしまうほどフェラチオの経験がある。もちろん、する側だ。そんなことに慣れていると思われるのは好ましくはないが、下手に出来ないふりをして何度も強要されるよりはずっといい。

「ん……、どこで覚えてきたんだ、こんなこと」

ちらりと見た表情と時折漏れる息で、アイは落合の限界が近いことを知る。竿に当てていた手を離して、口いっぱいにペニスを含む。喉の奥まで使いディープスロートをする。
自分の射精が近いことを覚ったらしいアイを、落合は信じられないというような目で見た。しかも、ディープスロートなど相当慣れてなければできない。何故か問い質したいと思ったが、ここは息が漏れないように黙っていることに決めた。

「飲めよ」

髪の毛を掴む手に力が入った。アイは目をきつく瞑って愛撫を続けていた。
すぐに、ペニスが強く反り返った。もうすぐ射精するしるしだ。早く出してしまえと言わんばかりに、アイはより深く咥え込む。

「……っ!」

ドクドクと口の中に精液が流れてきた。それを喉の奥に流し込むが、なかなか射精が終わらなかった。アイはペニスを噛み切ってやりたいような気持ちを抑え全て飲み込むと、口からペニスを吐き出し丁寧に舐めてやった。
ここまですれば文句はないだろう。粘液を全て舐め取った後そんな気持ちで見上げてみると、落合は少し脱力しているようだった。
アイの視線に気がつき、落合は少し慌ててアイから離れた。まだ興奮の冷めないペニスを半ば強引に下着にしまい、ズボンを整える。

「合格点だな。……どこで覚えたんだ?」
「……いいじゃないですか、どこだって」

反抗的な言葉だったが、落合はそれほど不機嫌にならなかった。拉致する際いくらか素姓を調べたが、ゲイではないようだったし、変な職に就いていた経歴はなかった。きっと性癖を隠して生きている類の人間だろう。名前や素姓を隠して、どこかでウリをしていたのかも知れない。

「まぁいい。調べれば経歴なんてすぐにわかるわけだしな」

そう言うと、落合は床に置いてあった鞄を開けた。アイにとってその鞄は恐怖の鞄だ。あそこから出てくるものは大体浣腸の道具だからだ。昨日でまだ二回目だが、浣腸への嫌悪感はアイの体に確実に染み付いていた。
「そんな顔をするな。お前、排便して感じてるのを忘れたのか?」
確かに感じてはいたが、嬉しいことじゃない。アイはそっぽを向いた。口の中にまだ落合の味が残っていて、気分が悪い。

「四つん這いになれ」

アイはしぶしぶ四つん這いになってやった。その態度に落合はいくらか腹を立てていたが、先ほどのフェラチオが良かったせいかまだ落ち着いてはいる。
剥き出しになったアイの肛門に、粘度の高いローションが塗りつけられる。昨日までの浣腸の手順とは違うので、少し首をかしげる。しかし何かの管が中に入ってきて、やはり浣腸されるということに気づく。
落合が使ったのは、薬局でも簡単に手に入るイチジク浣腸だった。30mlのものを3本立て続けに搾り入れる。そこでやめて、落合は鞄の中を探り、ビニールの袋に入った白い塊を取り出した。殻が剥いてあるゆで卵だ。
既に便意を催していたアイの肛門に、つるりとした物が触れる。

「なにっ……?」

アイの悲鳴にも似た質問に、落合は笑い声で答えた。

「卵だ」

やめてくれと言う前に、ひとつ目のたまごがアイの肛門から飲み込まれて行った。立て続けにもう二つ、つるんとしたゆで卵が体内に押し込まれた。
直腸を押し広げられる拡張感と便意が腹の中で交じり合い、複雑な感覚だった。やがて肛門が排泄を求めてピクピク痙攣し始める。

「……産気づいたのか?」

楽しそうな声に、アイは首を振った。そう言われて、自分が産卵させられるということに気がつき、恥ずかしくなったのだった。

「ん……んぐ……」
「一つ目の卵が下りてきたみたいだぞ。産みたいんだろ?」

アイの脚の間に、いつものバケツが用意された。

「産みたいんだろ?言ってみろ、卵産ませてくださいって」

便意の方はもう我慢できそうにない。しかし、卵を産むという状況がどうしても嫌だった。

「じゃあいつまでもそのままでいるか?黙って産んだら食わせるからな」

自分の便と一緒になっている卵を食べさせられるということだろうか。落合の言葉が一瞬理解できず、アイは困惑した。

「産んだ卵を、糞と一緒に食わせてやるって言ったんだ」
「……嫌だ……」
「嫌なら言ってみろ」

落合はわざとらしく冷たい声で命令した。
アイが意を決して言おうとしたとき、ドアの開く音が聞こえた。

「おうおう、やってるな」

入ってきたのは翁だ。アイはせっかくの決心を邪魔されてしまった。

「翁、いいところに来ましたね。今から産卵する所なんですよ」
「産卵?ほう、それはいい。わしにも見せてくれ」

翁は上機嫌に同調し、アイの尻が良く見える位置に立った。

「ほら、言え。糞まみれの卵を食いたいのか?まぁ、それでもいいが……」

それだけは絶対に嫌だ。アイは首を振った。人が増えたせいで恥ずかしさが倍増する。しかも、卵を産むなんて、こんな屈辱的なことを、翁や落合の前でするなんて。アイは涙を流しながら、便にまみれたゆで卵を食べないために口を開いた。

「卵を、産ませてください……」
「もっと大きな声で」
「……卵を産ませてくださいっ!!」

アイの声が、部屋中に充満した。その余韻が消える頃、落合の、産んで見せろ、という小さな声がアイの耳に聞こえた。
少し腹に力を入れると、卵が肛門の方へ動いて行く感じがした。そして、つるりとしたものに肛門が内側から押し広げられる不思議な感覚がアイの腰に響いた。

「……んっ、」

アイが声を漏らすと、翁は笑った。

「もっといきまんと産まれてこんだろう。もっと足を開いて、踏ん張れ」

いわれたとおりに少し足を開き、さらに腹に力を入れる。ローションで少し濡れた肛門から、少しだけ白い卵が顔を出した。

「少し出てきたぞ」

アイは泣きながら腹に力を入れ続けている。やがて肛門を押し広げて、白い卵がつるんと産み落とされた。

「んぐぅっ……!」

卵が肛門を抜ける感覚が、思いのほか気持ちよくて、アイは思わず声を上げていた。それにこの羞恥が、たまらない。

「あ……ぁあん……、も、もう一個、」
「産んで見せろ」

強くいきむと次の卵がバケツにぼとりと落ちた。

「ふぐぅ……ん、んぅ、」
「もう一個あるはずだぞ。それも産むのか?」

落合に促されるようにして、アイはうんうんと何度も頷いた。

「んっ、んんっ……う、産まれるぅっ」

バケツに卵が落ちる音が室内に響く。その後、アイはすでに溶けていた便を勢いよく放出した。

「後産か?」

翁がそう言って一人で笑っていた。勢いが良かったせいかすぐに排便は終わった。
すぐに二回ほど洗腸を施されて、アイは初日のように天井からぶら下がった鉄パイプに足を固定された。手は頭の上で縛られている。背中が床に着いているので昨日の傷がジンジン痛んだ。

「さて、今日はどうしましょうね」
「また打つか?」

そんな会話を繰り広げる二人から視線をそらす。壁を見詰めながら、錦が来てくれればいいのにと思っていると、ちょうどドアが開いた。

「……駒形か」

入ってきたのは駒形で、アイは少し落胆した。落合は鬱陶しそうに駒形を見やった。その目に何となく腹が立って、アイは無意識に落合を睨みつけていた。

「何だその目は?」

落合がアイの腹に足を乗せる。もちろん、土足だ。革靴の硬い底が、アイの白い肌を押しつぶしていた。

「また痛い目にあいたいのか」

そう言うと、脇腹に足を強く押し付けた。ぐりぐりと底でアイの腹を擦る。痛いし悔しいと思ったが、アイは黙っていた。

「反抗しないということは、痛い目にあいたいということかの」

翁は嬉しそうに壁の方に歩いて行った。鞭を取りに行ったのだろう。駒形はその様子を黙って見詰めていた。口を出すと落合をさらに怒らせる危険性がある。止めるにしてももう少し様子を見ておいた方がいい。

「昨日は打たれてよがったおったな。相当なマゾじゃ」

昨日のものとは違う一本鞭を手に戻ってきた翁はそう一言発すると、アイの腹に鞭を振り下ろした。

「がぁっ!」

鞭は腹に巻きつくように広範囲を打つ。昨日の乗馬鞭とは全く違う感触だった。すぐに、薄っすらと線状の赤い痕が浮き上がってきた。

「色白だからな、赤が映えるわい。なぁ、落合君」
「そうですね」

かなり上機嫌な翁に、落合は少し呆れたような表情で返した。駒形は止める機会を窺ってじっと翁の様子を見ていた。

「すぐによがり始めるじゃろ。そうだ、落合君もやってみたらいい」

翁はそう言って半ば強引に落合に鞭を押し付けた。鞭打ちの趣味はないが、仕方なくそれを振う。

「ぐ……っ」

先ほどよりも反応が小さい。落合はそれに首を傾げた。力が足りなかっただろうかともう一度力を込めて鞭を振ってみる。しかし、音が派手に鳴っただけでアイの反応はいまいちだった。
さらに二度三度と繰り返しても、アイは小さく悲鳴をあげるだけで、翁の最初の一発より反応が悪い。落合はだんだん苛々してきた。

「このっ!」

大きく振りかぶった一撃は、アイの顔に向けられていた。

「うわぁっ!!」

瞬間アイは顔をそらしたが避けることはできなかった。何とか眼に当たるのは避けたが、左の頬にくっきりと痕が浮き上がる。
よく見えていなかった駒形だったが、顔に当たったらしいということは分かった。

「あぁあぁ、何てことをしてくれたんだ落合君!」

アイの顔を覗き込んだ翁が悲鳴にも似た声を上げた。落合もそうだが、翁もアイの顔は気に入っている。しかしその声は単に怒りだけを表しているようではなく、少し面白がるような色も含んでいた。美しいと思えるほど、その傷が様になっていたからだった。

「落合君、ここからはわしに任せろ」

ニヤリと笑って、翁は落合から鞭を奪い取った。落合は黙って場所を空ける。

「どこに傷がついても様になるのう。楽しみじゃ」

翁が鞭を振り上げる。アイは同時に息を吸って、鞭が振り下ろされるのと同時にそれを吐いた。

「うわあぁぁっ!!」

それは的確にアイの肩を打った。肩に痛みを感じながら、喉を打たれるとどうなるのだろうと考えた。声が出なくなるのだろうか。知りたいが、されたくはない。

「うっ、あぁっ!あっ!!」
「どうじゃ、そろそろ良くなってきたんじゃないのか?」

アイの悲鳴と鞭の音が、コンクリートに反響する。既にアイの胸は真っ赤な痕で埋め尽くされていたが、その悲鳴にはまだ艶っぽさはなかった。

「頑固じゃな……。それ!こっちはどうじゃ!」

昨日も打たれた腿に、鞭が飛んだ。

「ひぃっ……!」

場に居た全員が、アイの声の変化に気づいた。この悲鳴を出させたのは恐怖と痛みだけではない。駒形は眉を寄せて顔をそらした。落合は目を開いてアイの顔を注視する。翁は、もう一度鞭を振り上げた。

「ぃいいっ!!」

今夜はずっと、鞭の音が部屋に響いていた。

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あきゅろす。
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