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苦界の躾
叩く※
アイは目を醒まして、座っていた。正座するのは彼の習慣で、タオルケットの上に何か畏まるわけでもなく正座していた。
階段を下りる足音がかすかに聞こえてきた。今日聞いた錦の足音とは違う。かなりゆっくりなので、きっとあの老人だろうと推測した。
アイの予想通りドアを開けて入ってきたのは翁と呼ばれている老人だった。杖を突いているが、背中は曲がっていない。足が悪いのだろうか。この老人を見るのは三回目だが、初めてちゃんと姿を確認したような気がする。今までは、仙人のように髭の立派な老人だとしか思っていなかったが、よく見るとなんだか貫録があって怖い。

「おうおう。いい格好をしておるな」

しわがれた声で上機嫌に言うと、翁は杖でアイの肩をぐいと押した。

「錦がやったのか?まったくあいつは古典的な芸に長けておる」

さらに強く肩を押され、アイはバランスを崩してタオルケットの上に転がった。

「線が細い割にはいい尻だ。色白もいい」

横向きに倒れたアイの尻を、杖でポンポンと叩く。その尻の刺激にも少し腰が疼いてしまった自分に、アイは呆れた。
翁がうつ伏せになれというので、アイは素直に額を床に着け尻を突き出す格好になった。そこに、翁は杖をたたきつけた。

「いいぃっ!!」

突然尻を強く叩かれ、アイは驚くどころか恐怖を感じた。鈍痛が叩かれた部分に残る。

「……ふぅん。弾力もあるな。まぁ、後でたっぷり引っ叩いてやるわい」

そんなことはしてもらわなくてもいいが、嫌だと言って怒らせるのも嫌だったのでアイは聞いていないふりをした。

「さて、今日はなにから始めるかの」

翁は杖の先をアイの肛門に押し付けた。滑り止めのゴムがそこにぴったりとくっついて、ものすごく不快だ。気持ち悪いので腰を揺らして位置がずれないかと思ったが無理だった。しかも、それを見た翁は喜んで、大きな声で笑った。

「そんなに尻の穴が淋しいのかお前は!相当な淫乱じゃな!」

勘違いなのだが、言い訳をする気力さえ湧いてこない。錦とのセックスで疲れていたのもあるし、この老人が怖いと思っているのもある。

「まぁ、少し待っておれ」

そう言うと、翁は杖を突いて、いろいろ入っているらしいダンボール箱を物色しにアイから離れて行った。うつ伏せになっているアイには翁の行動が見えていなかったが、足音が聞こえたのでアイの側に戻ってきたのはわかった。
戻ってきたかと思うと、アイの尻にぬるぬるした液体が降ってきた。

「……うえっ?!」

感触の気持ち悪さに、アイは思わず声を上げる。それは背中を伝って首の方まで流れてきて、こめかみの辺りから顔に伝って、タオルケットに染みを作った。
かなりの量をアイの体に降りかけると、アイの体に纏わり付いたそれを杖に塗りつけ始めた。ゴムの滑り止めがするすると滑って行く感触に、アイは身震いした。
杖が、アイの肛門に押し付けられて止まった。まさか入れるつもりなのだろうか。アイの体は恐怖で硬直した。思ったとおり、杖の先が強引に筋肉を押し広げ始めた。数時間前の錦とのセックスとは全然違い、嫌悪感しかない。

「ヤ……、ヤダっ……あ……」

弱い声で悲鳴を上げると、翁は逆にさらに強く杖を押し付けてきた。すると、まだ筋肉が緩んでいたのか、先端が体内に飲み込まれてしまった。

「うぁっ……ぐ……う」

太さこそ錦のペニスと大差ないが、人工物の硬さがアイには苦しい。先端は一応ゴム素材のようだが、そこに入れるには硬すぎる。

「ほう。錦が慣らしたのか?意外とすんなり飲み込んだのう。もっと奥もしてやろう」

ローションの力を借りて、杖がどんどん中に入ってくる。アイは恐怖と不快感に涙を流していた。しかし、中を満たされると、甘い痺れが腰に広がってきた。

「感じてきたか?淫乱めが」
「……ちがっ……う……」

抵抗を試みたが、声が切れ切れで全く説得力がなかった。

「その声で違うと言ったって説得力がないぞ、淫乱」

翁は杖をぐいと引いた。

「ひぃっ!!」

ギリギリまで抜けた杖が、今度は勢いよく奥に入ってくる。

「あぁああっ!!」

錦とのセックスで覚えてしまった直腸を満たされる快感が、アイの脳髄を解かし始めていた。理性は翁相手に乱れてしまうことに抵抗しているが、快感がそれを追い越そうとしている。

「ヤダ……ヤダっ……」
「嫌なのか?」

思ったよりも抵抗するアイを見て、翁は笑った。意地悪そうな笑みを見せると、杖の先端で前立腺の辺りを刺激し始める。

「ふっう……!ぐあぁっ!!」

これには感じずにはいられない。アイのペニスは既に勃起していたが、前立腺への刺激でさらに硬くなり、先走りを垂らし始めた。

「チンポは正直じゃ。よほど尻の穴がいいらしい。勃起して汁をたらしておるぞ」

そんなことを言いながらしつこく前立腺を責め続ける。

「はぁ……んうぅっ……」
「どうだ?感じておるんじゃろう?抵抗せんで尻を振ってよがって見せろ!淫乱!」

翁の言葉に、理性が音を立てて弾け飛んだような気がした。スイッチが入ったように、アイの腰が快感を求めてうごめく。

「やっと正直になったわい。淫乱な獣は尻穴を犯されるのがいいんじゃな?」

アイの腰の動きに合わせ、杖を激しく抜き差しし始めた翁が言う。錦は使わなかった、淫乱や獣、犯されるといった言葉がアイをさらに興奮させた。

「あぐぅっ……う、うぁっ……、ぃいっ、いいっ!」
「正直になればかわいいもんじゃ。もっと鳴いて腰を振って見せろ!」

翁はうまく杖を使う。アイの腰の動きに合わせて、快感を倍増させている。そんなことをアイがわかっているはずはないが。
部屋に、杖がアイの直腸を抜き差ししているいやらしい音が響いている。押し込まれるときに、肛門付近に纏わり付いたローションが一緒に中に入っていくせいで中の滑りはよく、アイは酷く乱れた。

「うあっ、あぁ、ん、ぅんんっ!ひぃっ!!」

鋭い叫びとともに白い液体がアイのペニスから飛び出した。前立腺への刺激で精液が漏れてしまったのだ。射精のような開放感はない。こびりつくような痺れをペニスやその一帯に感じて、それを何とかしたくてアイは必死に腰を振っていた。

「射精したいか?なら、わしにねだってみろ。」
「……いっ、いかせて、いかせてくださいっ!」

アイにはその言葉しか思い当たらなかったが、翁はダメじゃと言ってアイの足を踏んだ。

「どうやっていかせてほしいんじゃ?」

快感に支配されているアイの頭で考えることなど無理だ。しかし自然と言葉が出た。

「尻の穴、ぐっちゃぐちゃに掻き混ぜて……!!」
「こうか?」

翁が今までになく激しく抜き差しを始めた。

「あぁうっ、うっ、うあぁああっ!!」

視界が白むほどの快感が、アイを襲う。すぐに腰がビクンと震え、ペニスからは精液が噴き出した。

「出しおったか」

翁はすぐに杖を抜いた。精液を放ち、直腸を満たしていた杖が抜き取られると、アイは体の中の全てのものが出ていってしまったような喪失感を覚えた。
膝が崩れ、体が転がった。

「こんなことでは終わらんぞ」

虚脱していたアイの腰を、翁は杖で強く叩いた。叩かれてアイが視線を翁に送る。

「まだ寝るには早いわい」

そう言われても動かないアイの体を翁が杖でいたぶる。杖なんかついている割に元気だ。本当に爺さんなのかと、アイは心の中で悪態をついていた。
翁に杖で殴られていると、ドアが開いた。駒形か錦だったらいいなと思ったが、落合だった。引きつった笑みを浮かべて翁に挨拶する姿を、アイは見上げていた。

「落合君いいところに来た。今日も掃除をしてやってくれ」

掃除と聞いて、アイは目を瞑った。あれは好きじゃない。便秘でもないし、何か大腸を検査するとかそういうわけでもないのに。逃げたくて、アイは芋虫のように体を動かして少しだけ二人から離れた。

「どこに逃げるつもりじゃ」

翁は杖でアイの背中を押さえつけた。一瞬息が詰まる。アイは咳き込んでしまったが、翁はずっと杖で背中を押さえていた。
落合はといえば、浣腸の準備をしながら不機嫌そうにアイの体に巻かれた縄を見ていた。縄なんて古典的な拘束をするのは、錦だけだ。整った見事な緊縛が所有のしるしのような気がして、不愉快だった。落合は浣腸の道具を出してしまってから、鞄に入れてあったはさみを取り出した。裁ち鋏のような大きな鋏だ。
鋏をもって近づいてきた落合が視界に入る。錦が施してくれた緊縛を解く以外に、鋏の使い道なんかない。アイはそれから逃げようともがいた。

「いやだっ!」

先ほどローションまみれになった杖の先は、すぐにアイの背中を滑ってしまった。押さえがなくなって、体を起こそうとする。アイが鋏から逃げようとしていることに、落合はさらに腹を立てた。タオルケットが床を滑り体を起こしそこなったアイの腹に、蹴りを入れる。

「ぅうっ……!!」

いいところに当たったのかおとなしくなったアイに、落合が満足げな笑みを見せた。麻縄に何箇所か鋏を入れ、アイの緊縛を解く。縄が解かれていく感触に、アイは少しだけ涙が出た。さっき翁に乱れさせられたことといい、落合に縄を解かれたことといい、錦の跡が全て奪われているような気がした。
落合の乱暴にも翁はなにも言わなかった。彼は顔さえ傷つけなければ何をしても文句を言わないつもりでいた。何より、自分自身が相手に暴力を振いたいからだ。杖や鞭で散々打った後、痣や傷ができているのを見るのが翁は大好きなのだ。
アイはたまに小さくうめくものの動かない。落合は手早く浣腸の準備を済ませた。今日はエネマシリンジを使うらしい。浣腸液を入れた風呂桶みたいな容器をアイの側に置いた。
肛門から異物が入ってきて、アイの意識はようやくはっきりした。縄を解かれ手も自由になっているが、動かす気力は湧いてこない。抵抗してまた蹴られたりするのも嫌なので、アイは黙ってじっとしていた。冷たい液体が、入ってくる。それに少し身震いして、自分に浣腸を施す落合をぼんやりと見てみた。神経質そうな顔。短気そうだなと、思った。
液を注入するために入っていた管が抜かれると、アイはすぐに便意を催した。我慢するのも面倒だと、そのままタオルケットの上に液だけを垂れ流してしまった。

「……こいつ」

落合が舌打ちして、尻を思い切り叩いてきた。痛みを感じ、アイは目を瞑って顔をそらす。さらに何度か叩かれて、尻は赤く腫れた。
もう一度管が入ってこようとしたが、アイは反射的に体を動かして逃げてしまった。それは落合を完全に怒らせたようだった。落合は鞄からビニールテープの様なものを取り出した。
翁は楽しんでいた。杖に寄りかかり、落合がアイに振り回される様子を見て、声を出さずに笑っていた。
アイは赤いビニールテープで、ミイラのようにぐるぐる巻きにされた。うつ伏せになり尻を突き出し脚を大きく開いた格好で、股間だけを残し全てが固定されている。腕は胸の前で組んでそのままテープを巻かれている。体を支えているのは、頭と膝と爪先。かなり苦しい体勢のはずだが、テープで目隠しまでされているので表情を見て取ることはできない。口も何重ものテープでふさがれているので、くぐもった呻き声しか出せない。オブジェのように仕立て上げられたアイを見て、翁も満足げに目を細めた。
動けなくなったアイの肛門に、再びチューブを差し込む。先ほど入れた量の倍ほど液体を入れると、落合は大きめのアナルプラグを強引に突っ込んで栓をした。
表情の見えなくなったアイだが、腹の中が煮えているんじゃないかと思うほどの便意に襲われていた。栓をされているせいで出してしまうこともできない。この体勢も辛い。しかも、今浣腸されて出るものといったら、昼間錦に食べさせてもらった弁当くらいだろう。そう思うと、本当にすべて奪われているようで胸が締め付けられた。
少し経つと、脂汗で体がしっとりしてきた。溶けた便を排泄したくて、肛門が収縮していた。

「落合君、もうそろそろじゃないか。」
「……そうですね。」

落合は冷ややかにそう言って、プラグについている紐を少し引っ張った。プラグが抜ける排泄感に、アイの体が震えた。

「ん……んぅぅ……」

プラグの太くなっている部分が肛門を押し広げていく。そこから一気にプラグを引き抜くと、完全に液体のようになった便が噴出した。全てがいっぺんに出てしまい、喪失感が酷く強かった。
呼吸を整えていると、またエネマシリンジの管が肛門から入ってきた。さらに大量の液体が注入される。落合がポンプの部分を握る音が聞こえるので、何回握っているか分かる。先ほどは6回だった。しかし今回は、6回を過ぎても止める気配がない。あんなに苦しかったのに、さらに液を増やされたらどうなるかわからない。怯えながら数えていると、12回目で止まった。管が抜かれると、それに釣られていくらか液体が流れ出た。それがバケツに落ちる音がアイにも聞こえた。また栓をされるのかと思っていたが、管を抜いたまま他にはなにもされなかった。このままでは、すぐに出てしまう。
アイが排泄してしまってもいいものかと悩んでいると、誰かが動いた。足音がゆっくりだから、翁だろう。そう思う間もなく、アイの尻に強烈な衝撃が走った。翁が、杖で打ったのだ。

「んんーっ!!」

自然と腹に力が入り、肛門からは茶色く変色した浣腸液が噴出す。その調子で、翁はさらに脇腹を打った。打たれるたびに、排泄する。痛みよりもそちらの恥ずかしさの方が耐えがたい。叩く所を変えて何度も繰り返されていると、アイは気が遠くなった。
落合が洗腸のためのごく薄い液を注入し終えた頃、部屋のドアが開いた。アイには見えなかったが、入ってきたのは駒形だった。駒形は目の前の光景に、つい顔をそらせてしまった。

「駒形、お湯を持ってきてくれないか?」

ドアの側で立ち止まった駒形に、落合が言う。その声で入ってきたのが駒形だと知ったアイは、助けを求めて声を出そうとした。しかし、腹に力が入ったせいで肛門から浣腸液が噴出してしまい、結局は恥ずかしい思いをしただけだった。
部屋を出た駒形は、ため息を吐きながら階段を登っていた。アイが珍しく抵抗して落合を怒らせたのか。それとも錦が施した緊縛のせいで落合が腹を立てたのか。その両方か。様子を見に行ったときに、緊縛を解いておけばよかったかもしれない。後悔していても仕方ないと、駒形は考えるのを止め、電気ポットのお湯をいくらか小さめのポットに移し、また地下に戻っていった。通り過ぎるときに店を覗いてみると、客がきているようだった。それを見た駒形は、いつもは開けっ放しになっている階段室のドアを閉めた。
駒形が戻ると、アイがまた浣腸液を注入されていた。目をそらしたくなるような光景だった。赤く腫れた尻が痛々しい。しかもアイの肛門にあてがわれているのは、一リットルも浣腸液を注入できる家畜用の浣腸器だった。
肛門にうまく力が入らなくなってしまったアイは、浣腸器を抜かれる側から排泄を始めている。一応意識はあったが、自分がただ排泄を繰り返すだけの機械になってしまったような気分で、意識がないのとあまり変わりなかった。

「……まだやるつもりなんですか?」

何の抵抗もなく液体が肛門から流れ出てくる様子を見ながら、不機嫌にさせるのを承知で駒形は言った。案の定落合は不機嫌そうに舌打ちを返してきた。
その間、翁は杖の先でアイのペニスを刺激していた。朦朧とした意識の中刺激を受けて、アイの体はビクンと震えた。それが面白くて、翁がだらしなくたれているペニスをもてあそぶ。

「駒形や、まぁそんなことを言うな。こいつだってまだ意識はあるようだし、こっちも元気じゃ」

アイのペニスは翁に刺激されて半勃ちになっていた。脚の間からそれが見えた駒形はなにも言えずに落合と翁の顔を見比べた。
脚の間に置かれたバケツを落合が除ける。そしてアイを仰向けにさせた。
まだ何か続けるつもりの二人を見て、駒形は傍観者でいることを決めた。

「おい、起きろ」

翁がアイの腹を叩いた。目隠しをしているせいで気絶しているかどうかなどわからないが、翁はとりあえず起きていることにした。
落合が道具を片付けている間、翁はずっとアイの体を叩いていた。強く叩かれると、アイは少しだけ呻き声をあげる。

「駒形、鞭があっただろう。」

ポットを床に置きドアの側に立っていた駒形に、翁が言う。駒形は黙ってダンボール箱から乗馬鞭を取り出して翁に渡した。
駒形から鞭を受け取るとすぐに、翁はアイの腿を鞭で叩いた。杖とは違う鋭い痛みに、アイの体が少しだけ跳ねる。それを楽しむように、翁は腿だけを何度となく打ち続けた。道具をすっかり片付けた落合は、少し離れたところで見物している。

「んっ……んぅう……」

しばらくすると、アイは感じてきたらしく、呻き声に息が混じった。翁は杖でアイを突付き、またうつ伏せになるように指図する。固定された体は、うつ伏せになると先ほどのように尻を突き出した形になる。その尻に、翁は鞭を打ちつけた。

「んぐっ!」

浣腸をしている間も何度も刺激されていた尻に、また強い衝撃が走る。アイは自分でもわからないうちに、ペニスを勃起させていた。
コンクリート打ちっぱなしの部屋は、音が良く響く。アイの若い肌に鞭が打ちつけられる音が、部屋いっぱいに反響していた。

「ん……う、うぅ、」

こんなことで感じているアイが、駒形には信じられない。目をそらしていると、翁が落合を呼びつけた。

「落合君、尻の穴を刺激してやれ。この男は尻の穴だけでよがるんじゃ。」

そう言われた落合は、鞄から細身のバイブを取り出してアイに近づいていった。よくそんなものを用意していたなと駒形は呆れていたが、そんなものを売っている立場なので顔には出せない。
適度にローションを振り掛けたそれを、アイの肛門に押し付ける。信じられないほどすんなりと、アイの体はバイブを受け入れていった。すっぽりそれが入ると、翁はまた鞭でアイの体を打ち始めた。今度は背中だ。
アイはなにもわからなくなっていた。目隠しをされてこれだけめちゃくちゃに刺激を受ければ、感覚が変になるのも当然だ。口が塞がれているせいで、満足に息も吸えない。
それでも、前立腺への刺激はアイの体を感じさせた。落合はバイブのスイッチを入れて軽くそれを抜き差ししていた。

「うぐっ……ううぅっ……んっ」

アイが声を出し始めると、翁は落合に手を離すように言った。落合が手を離すと、翁はウエストに鞭を打ちつけた。

「んんんっ!!」

激しい痛みのはずなのに、何故かペニスの根元で甘い痺れに変わる。失いかけた意識の片隅で、アイは自分の体を呪った。

「淫乱めが!イってしまえ!!」

駒形は目を伏せて俯いた。アイの呻き声と鞭を打つ音が部屋に充満していた。

「ん、んぐっ、んんぅっ」
「そら!イケ!」

ひときわ鞭が強く打ちつけられると、アイはビクンと体を震わせた。息が詰まったのか、声は出なかった。代わりに激しく咳き込み、腹に力が入ったせいか、バイブが押し出されて床に落ちた。それが肛門を抜ける瞬間、アイはまた少し体を震わせた。
アイのペニスから垂れている精液を眺めて、落合は薄笑いを浮かべていた。翁も満足そうに口の端を上げる。

「この男、本当に淫乱なんですねぇ」

眼鏡を上げながら落合が言うと、翁は頷いた。感じやすい体はいい。感じすぎる恐怖に怯える表情というのはいい。完全に拒絶できない感覚だからこそ、その戸惑いは大きい。それに困惑する姿を見るのが、翁も落合も好きだった。それに、ただ痛いとばかり叫ぶ奴は面白みがない。艶のある喘ぎ声を出されればやっている方も興奮できる。

「なんだか疲れたのう……。わしは帰ろうか」

翁が鞭をその辺に投げて、髭を触りながら言った。どうやら本当に疲れているらしく、それが顔ににじみ出ていた。翁の言葉を聞いて、落合はアイの脚の間に転がっていたバイブを拾い上げた。

「私も帰ります」

拾ったバイブをハンカチのようなの布に包み鞄に詰め込み、落合はドアに向かって歩き始めた翁を追った。

「それじゃあ駒形、また来るぞ」

翁は上機嫌にそう言うと、部屋を出て行った。落合の方は、口出ししたのを根に持っていたらしく少し駒形を睨みつけて行った。

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