秋冬春夏(完結)
コーヒー(拍手お礼6)
純がカウンターでため息を吐いていた。
物憂げな色気の誘惑に負けて、清一はどうしたのと話しかけた。
「たまに松田がスターバックス行こうっていうから付き合うんだよね」
そんな普通のことにため息を吐かなくたって良かろう。首を傾げた清一を置き去りに、純は続けた。
「今日も行ったんだけど」
純がただのコーヒーを注文するのを見て、松田がキラキラして言うのだ。
久我さんくらいカッコイイ人はラテとか頼まないんですね!
清一は純が凝ったものを頼まない理由を知っているので、松田の発言を残酷だなと思った。
「考えるのが面倒だからコーヒーしか頼まないだなんてもう言えないじゃないか」
次回こそ勇気を出して松田のおすすめを頼んでもらおうと思ったのに。
純はいよいよ項垂れた。
清一はカウンター越しに生温い視線を送った。
「かわいそうに……」
選んでくれと頼んでも、必ずコーヒーにされるんだろうな。
やがて純は項垂れたまま居眠りを始めていた。
そこで寝るくらい無神経ならもうコーヒーでいいだろう。
先程の同情を返してほしい気持ちになる。
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