秋冬春夏(完結) 悪癖(拍手お礼5) 純には少々面倒な癖がある。 いつから始まったのかは知らないが、繰り返されているから癖と呼んでいいと思う。 スマホに届いたメッセージを見た清一は、またかとため息をつく。 ジャケット買ってもいいかな 清一は、ため息を吐きながら短く、いいんじゃないと返事をする。 すぐに返信が来た。 早いよ ちゃんと考えた上での返事なのか、ということだろう。 ますます深いため息が出る。 どうせ買うんだろ、とは返さないことに決めている。 ただ、こういうときは間違いなく、なんと返事をしようと買ってくるのだ。 そしてひとつ、最高の返事を清一は知っている。 4度目のため息とともに、メッセージを送りつける。 買ってきて見せてよ 純からすぐに、仕方ないな、と返ってきた。 ……仕方ないなはこっちの台詞だよ。 そう思いつつも口許が緩む自分が許しがたい。 5度目のため息が空しく出ていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |