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秋冬春夏(完結)
minecraft(拍手お礼3)
(純はMINECRAFT(マインクラフト)というゲームにハマっています)


「ゲーム?」

近頃妙にスマホに夢中の純がだんだん心配になってきて、キヨカズは勇気を出して詮索してみることにした。

純はスマホからぼんやりした視線をあげ、薄気味悪く笑った。

少し、詮索する気が引けた。

薄気味悪い笑みを浮かべたまま純が差し出したスマホの画面は妙にシンプルだった。

「今、畑を作ってるんだけど」
「農業のゲームなの?」

「ブロックを配置して冒険に旅立つって、書いてあった」
「は?」

ブロックを配置することと冒険に旅立つことの関連が全く分からない。

純は笑顔を深めた。

「見てて」

キヨカズにスマホを持たせ、するりと後ろに回る。
キヨカズを抱えるように後ろから手を回して、純は画面を操作した。

青空と緑の木々と動物のようなものが見える。

「ブタ?」
「ウシもいるよ」

などと言いつつ頭をこちらに凭れてくるのがタマラナイ。

「こいつらのエサを育てる畑なの」
「平和なゲームだな」

冒険に旅立つ、の部分がますます納得いかない。

「日が暮れてきちゃった」

画面が暗くなってきた。

「何か問題が?」

純は間近にあるキヨカズの顔を上目遣いに見た。
そして、目に力の入っていない、薄気味悪い笑みを浮かべる。

スマホから、うーうー、と呻き声が聞こえてきた。

「ナニソレ」

人の形をした色の悪いなにかが画面に迫ってきた。

「ゾンビ」

純はアイテムを剣に持ち換えて、応戦した。
そして家とは言い難い何かに駆け込み、ベッドをクリックする。

「寝てないとゾンビがどんどん出てくるからね」

そうだ。
この脱力した顔、まさにゾンビだ。

「お前、何時から起きてるの?」
「……5時くらいかな」

そんな時間からゲームに興じているというわけだ。朝食や洗濯を挟んだが、夢中ぶりがよく分かる。

「寝ないとゾンビになるぞ」

純は、ん、と呻いて固まった。

やがてまた上目遣いにキヨカズを見やる。

「それじゃ夜のお楽しみもナシか」

得意気に歪んだ口許に浮かぶ色気が恨めしい。

「このっ」

立ち上がろうとしたキヨカズからパッと体を離して寝室に避難する。

ベッドに座ってニコニコと微笑む純を見たら、戦意を喪失してしまった。

「ゾンビでも好きでしょ?」

つまり死んでも好きだろってことか。

もうため息しか出ない。


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