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濡れてザラザラとしたモノが頬を這う感覚に、朧げな夢から覚めた。
ぼやける視界に広がるのは青白い光と愛猫のナナだった。
「ああ、おはようナナ…」
ナナが返事をするようにニャーと短く鳴く。
ナナを抱き抱えながら起き上がと、最近、歳のせいかずっと軽くなったように感じる。
膝に乗せ、耳の後ろ辺りを掻いてやると喉をゴロゴロと鳴らし気持ちよさそうにナナは目を細めた。
反対の手でもって、ベッド脇にある、この青い光の原因である真っ青なカーテンをひくと、梅雨明けの眩しい朝日が直接、部屋に入り込む。
今度はそれに俺が目を細めた。
窓から目を反らすと、天井からぶら下げられたモビールが目に入っる。
半透明のプラスチックでできている魚たちは今は揺れることなく、俺のことをジッと見下ろしていた。
溜め息を一つつく。
俺の朝はこの部屋から始まる。
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