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ゆらゆらと揺れる光の狭間に一匹の魚の影が泳いでいく…
滲む視界の隅に君の影をみた。
「リツの部屋は海の底にいるみたいだ…」
君の呟きに俺はゆっくりと瞬きをして笑みを浮かべた。
あぁ、そうか…
ここは海の底か…
上手く息ができないのも、溺れる程に君を夢にみるのも、ここが海の底だからか…
深く息を吸い込むが、喉が締まる感覚に苦しくなる。
青い世界に切なさを感じた俺は全て塞ぐように目を閉じた。
「俺はずっとリツの側にいるよ…」
小さな腕が俺の背中に回ってギュッと力強く抱きしめてくれる。
悲しいのか嬉しいのか俺の目尻から涙が滑り落ちた…
夢でも現実でも
ここはいつも
寂しい
海の底
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