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白銀の昇り龍
尋問

『という話を聞いたんだが、何か知らないか?』

「いえ、何も」

『お前が即答するときは大概なんかあるよな』

「気のせいですよ、若」



ただ今、テツを尋問中。
この反応は何か知っている時の反応だと思うんだが、なかなか口を割らない。



『うちの可愛いガキンチョどもに何かあってからじゃ遅いんだよ。
知ってる情報渡せ。』

「うーん、そうですねー」

『ほらやっぱり知ってた』

「いえ、現在確認中の情報なので、若には確定してからお知らせしようかと思っているんです」



なので、今しばらくお待ちいただけませんか?

とにっこり笑う元教育係はやはり口を割らない。


こういう時は。



「……若、俺といる時は電話は禁止です。」

『口の固いお前が駄目ならアイツに聞くしかないだろう』



というわけで、片割れに電話。



《紅!!!!!》

『久しぶりだな、蒼空。相変わらずデケェ声』

《紅! 会いt……》

『ところで蒼空。最近、弘燎の周りで何か起こってるって話、聞かねえか?』

《……せめて最後まで言わせろよ。
で、弘燎の周り? 特に何も聞かねえけど。
っていうか紅、たまには帰ってこいよ。》

『……お前、本当に嘘が下手だよな。』

《は……?》

『お前が本当に何も知らなかったら、話すり替えねーで何が気になるか聞くだろーが』



基本的にお兄ちゃん子だからな。
自分の与り知らないことで兄貴が悩んでたら、こいつの場合、すぐに状況把握に走る。
それをやらない時点で、蒼空は何か知ってるってことだ。



『……で? 何隠してる?』

《……テツに代わって》

『俺と話したくねーの?』

《そうじゃねーけど……一応確認取りたい》

「いいですよ、話しても」



地獄耳か、テツ。



『聞こえてたか?』

《ああ。じゃあ、一言で言う。
……最近、弘燎の周りを木島組の構成員がうろついてるって話だ》

『へぇ……そりゃまた穏やかじゃねーな』

《だけど、なんでうろついてるのかがよく分からないとかで。》

『だが、この近辺うろついたら、西條組が黙ってねーだろうに』

《もう動いてるって》

『のわりに対応遅ーな。颯悟の奴は何やってんだか。』

《……紅。アイツの名前出すなよ》

『で、お前はアイツ嫌いだよな』



当たり前。と、嫌そうな声を出す蒼空。
颯悟というのは西條組の跡取り息子で、俺らと同い年である。

蒼空はテツ以上にこの西條颯悟を敵視している。
まあ原因は俺だったりするんだが。



『お前、いい加減園児の時のことなんか忘れろよ』

「いーや無理だね。アイツだけは許さん」



なんだろう。
真面目だったはずなんだが、もうグダグダだ。


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あきゅろす。
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