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白銀の昇り龍
週明け
落書き消しという慈善活動を無事に終え(なぜか全員5時半までやっていた)、今日は月曜日。

俺は、またもや頭を抱えていた。



「この土日の寮監って、紅ちゃんだったよな!」

「Fの奴が、寮監室にいた先生が超カッコよくてマジタイプって騒いでたんだけど、それって紅ちゃん?」

「っていうか、俺ら、紅ちゃんの素顔見たことないよね」


「「「ねーねー紅ちゃん、眼鏡外して見せて!」」」



……うぜぇ。


うぜぇが、しかし、相手は我がクラスの良い子たち。
無碍にはできない。



『うーん、眼鏡がないと、私、よく見えなくて怖いんですよね』



勘弁してもらえます?

と言ったところ。



「じゃあ、なんでそん時は眼鏡外してたの?」


『掛けたまま寝る人がいますか』


「なーる! じゃあ仕方がない」



やっと諦めてくれた。と思ったのが甘かった。



「じゃあ、センセの寝込みを襲えばいいんだねー」



出た。
こういう時ばっかり来る、宮浦。
しかも、本日はなぜか矢崎は不在。

お前ら、セットじゃなかったのか。

などとくだらないことを考えていると。



「センセー借りてくよ」



そう言って、宮浦は俺の腕を取り、ほぼ無理やり、廊下に連れ出して歩き出した。





『え、どこ行くんですか?』

「ナ・イ・ショ♪
あ、間違えた。イ・イ・ト・コ♪」

『……帰っていいですか?』

「ダメー」



そう話しながら連れてこられたのは、空き教室。

俺も馬鹿ではないので、さすがに身構える。


しかし、扉を開けた先には、不在を呪った矢崎ともう1人、宮浦と矢崎のクラスの星野がいた。



「たいしょー、連れてきた」

「ああ」

『……何ですか?』



聞いた俺には見向きもせず、矢崎は星野の方を向き、顎で合図。



「先生さ、最近、この近辺で起きてること知ってる?」



いかにもヤンチャな感じの目をした星野は、矢崎や宮浦と比べると、驚くほど小さく感じる。



『この近辺で起きていること……っていうか、私、最近校務が忙しすぎて、ほとんど外に出ていないんですよね』



知らないということを言外に伝えると、星野は「やっぱり……」と呟いた。



なんだなんだ?


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あきゅろす。
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