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白銀の昇り龍
違和感

いつもの調子を取り戻した宮浦に辟易していると、西島が子分3人を連れてやってきた。

子分3人は、宮浦と矢崎を見ると一様にほっとした顔をする。



「何お前ら。どしたん?」



宮浦の問いかけに対し、一瞬口を開いた彼らは、しかし、何かを思い直したように、



「いや、宮浦さんと矢崎さんが喧嘩せずにやってんの見て安心したんす」



と、言ってはいけない一言を言った。



「何、俺らそんなに駄目な感じに思われてんの?
ちょー心外」


ぶーたれる宮浦に対し、矢崎は、少し目を細めて子分3人を見た後、興味をなくしたように、再び寝に入った。


ふと、相川はどうしているのかと見てみると、先ほどの矢崎と似たような視線を西島に向けていた。



「さて、皆さん。先ほどと同じように、こっちでも頑張ってくださいね」



西島が声をかけると、子分3人は、一斉に落書きを消す作業に入った。


え、何で?

何でこんなに言うこと聞くんだ?




『彼ら、こんなに聞き分けよかったですっけ?』



さすがに不思議に思って聞いてみると、西島は一瞬不思議そうな顔をした後、ああ、と納得したように笑った。



「僕だって、怒る時は怒るんです」



今度は、俺が納得。

どんなにダサくたって、どんなに言葉遣いが丁寧だって、長身な西島が怒れば怖いのだろう。
さらに、普段が温厚なだけに。


納得する俺の横に、宮浦が来た。



「西島センセって、怒るとちょーコワイの?」

「さあ、どうでしょう。とりあえず、彼らには有効でしたので、今回は助かりました」



宮浦の直球すぎる質問にも特に動じていない。

……意外とブラックなのか?


そう思いながら、俺は作業に戻った。
その俺の後についてくる宮浦は、「なーんか臭うんだよねぇ……」と意味深なことを言いながらも作業再開。


一方、西島は、作業を中断していた矢崎と相川に向かい、



「ほら、君たちも! 早く作業しましょう!」



と、無理やりスプレーを持たせていた。



……あなどれん。


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