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白銀の昇り龍
当番制

俺は、どちらかというと綺麗好きである。


『……………』


それなのに、足の踏み場もない、この状況。


『………………』


場所は、生徒寮の管理室。
………誰だよ、ここまで汚した奴。









例の3人組をテツが撃退してから、既に3日経つ。
(ちなみにあの3人は、「正当防衛」という名目の下にテツにボコボコにされた後、連絡を受けて来た満面の笑みの風紀委員長とその部下に連行された)


あの一件を抜かせば、平穏な毎日だと思っていた俺に、青天の霹靂。



「大城先生は、今週の土日、生徒寮の管理室をお願いしますね」



なんでも、浜中が謹慎した時に順番が狂ったとかで、当番が一週ずれたのだそうだ。


浜中………つくづく、気に食わん。


でもまあ、いつかはやらなければいけない仕事だ。
そう思って、通常業務の後に最低限必要なものを持って管理室に来てみたのだが。



何度見ても汚ねぇ。


山盛りになった灰皿に、靴の跡のあるいらなくなったのであろう書類、埃まみれの雑多なファイル群に、いつ掃除をしたのかわからない床。

トイレと風呂場は怖くて見てない。


生徒寮は全体的に(思ったよりは)綺麗だったので、油断した。



それにひきかえ、なんだ、ここは。



頭を抱えたくなった。



「せんせぇー、どしたのー?」



開けっ放しにしたドアから頭を抱えた俺の姿を見つけたらしい、うちのクラスの数人が声をかけてきた。


なかなか懐いてきている彼らが俺の近くまで来ないのは、ここが管理室だからなのか、それともこの汚さ故なのか。


……おそらく後者だろうな。



『……管理室が予想外に汚いなと思いまして』

「ああ、紅ちゃんて、こういうの駄目そうだもんね」

『ええ。でも、たった2日ここにいるだけなら、なんとか耐えられるかな、と』



今、覚悟を決めようとしていたところです。



そう言うと、彼らはお互いの顔を見てから、こう宣った。



「え、無理じゃね?
っていうか、今の紅ちゃん見るかぎり、無理そう」



やっぱりお前らもそう思うか。

なおも腕組みをして悩む俺に、天使たちの声。



「ここ、入ってもいいなら、片づけ手伝うよ?」



お前ら、管理室だから入っちゃいけないって思ってたのか!!!



思わず顔を上げた俺の顔は、ビン底メガネでよく見えないものの、おそらく口の形から嬉しさを全面に押し出していたことだろう。



やあ、良い生徒たちで先生は嬉しいよ!!


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