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白銀の昇り龍
面倒事

「大城、ちょっと来い」


ある日、相川派の数人に取り囲まれた。


連れていかれたのは、あまり使用されていない様子の第2体育館の物陰。


「相川さんが何も言わないからって、お前、調子に乗ってねぇ?」

「お前なんて、俺ら3人で簡単に潰せるんだからな」

「やっぱさ、俺らでやっちゃわね?」

「相川さんも早くこんな奴やっちゃえばいいのにな」

「……ひょっとしてコイツ、既に相川さんに命乞いしてたりして」

「あーありえる!! 土下座して大泣きしながら謝りまくって相川さんに頭ぐらい踏まれたのかもな」

「じゃなきゃ、あの相川さんがコイツに何もしないなんてありえねぇ!!」

「ってことは何か? コイツ、相川さんに好き勝手されてんじゃねぇの?」

「相川さん専用の肉便器になってたりしてな!」


ギャハハ!!!


大笑いを続ける奴らを見ていて、なんだか無性に腹が立った。

俺だって、相川がどんな奴なのか、よくは知らない。

ただ、これまでの様子を見ていて、相川はここまで下品た発言をしないことぐらいは分かる。

それに、コイツらは相川の仲間などでは、ない。

相川に対する尊敬の眼差しはおろか、尊重の念すらない。

ってことは。


『君たちは、相川くんが強いから、一緒にいるんですか?』

「あ?」

『もし、相川くんが強くなかったら、どうしてます?』

「は? いやイミわかんねぇし。弱い相川さんとか、その時点で相川さんじゃねぇじゃん」

「あーでも、仮に相川さんが喧嘩できなかったら………ちょっともえるかも」

「何言ってんだよお前」

「だって顔きれいじゃん。セフレの一人にしてもいいんじゃね?」

「……ああ、言われてみれば」

「だろ? でもさぁ、今この場で喧嘩できないのって、このメガネなんだよね」

「ついでに言うとさぁ、アンタじゃ勃たせることすらできねぇんだわ」

「ってことで、フルボッコ決定」


3人がじりじりと近づいてくる。


そして、俺の前まで来たとき、中の一人が俺の腹に拳を入れてきた。



だがな。


俺はお前らと違って結構鍛えてるんだよ。

ついでに言えば、反射的に腹に力を入れちゃうわけ。

そうなると、どうなるかと言うと。


「な、コイツ! ありえねぇぐらいかてぇ!!」





あーあ。


面倒なことになる予感。


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あきゅろす。
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