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白銀の昇り龍
変化

テツが学校に来ることが決まったあたりから、職員室の雰囲気が少し変わった。

何がどう変わったのか、詳しい指摘はできないが、俯いてばかりいた教師たちの顔が見えるようになった気がする。
というのも、これまでにきちんと見られなかったひ弱そうな教師の顔をよく見るようになったのだ。
おかげで、顔と名前が一致する教師が増え、仕事も少しではあるが、スムーズになった。



そういえば、うちのクラスにも変化があった。

俺に反旗を翻したまま姿を見せていなかった相川とその取り巻きが、教室に顔を出すようになったのだ。

取り巻きたちは相変わらず、俺にガンを飛ばしてくるが、彼らのトップである相川は、まるで何事もなかったかのようにしている。

………ただ、教室にはいるが、授業をきちんと受けている様子はない。

ただ黙って、俺を見てくるだけだ。


一方で、相川の取り巻きではない生徒たちは、日に日に俺に懐いてきている。


井坂はしょっちゅう俺の背中に飛びついてくるし、杉原は肩を組んでくる。
他の連中は相変わらず「紅ちゃん」呼びをしてきて、俺が大量の荷物を持っていると、手伝いに来てくれる。

荷物を運ぶのを手伝ってくれるのは、ありがたい。
ただ、彼らは一言多いのだ。


「「「ひ弱な紅ちゃんに、重いモンは持たせらんねぇ」」」


そんなだから、我がクラスは今、奇妙に二分している状態である。


その状況に首を傾げているのは、俺だけではない。


「なーんか相川が変だよね、センセ?」

『………宮浦くん』

「あ、名前覚えてくれたんだー。俺もね、覚えたよ!」

『何を?』

「センセの乳首のバ・ショvV」


そう言って、コイツは服越しに(しかも腹の立つことに的確に)、俺の乳首を触ってくる。


なんてセクハラだろうか。


思わず、宮浦を睨む。
だが、それとほぼ同時に「ぐぇ」という奇妙な声とともに、宮浦は首根っこを捕まえられていた。


「うちの発情猫が迷惑かけた」

「俺はタチですーネコじゃありませんー」

『……今度からは、きちんと首に紐と鈴を付けておいて下さいね』

「心得ておく」

「え? たいしょー? ひどくない?」

「さぁな」


こんな具合で、矢崎とも言葉を交わすようになった。


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