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白銀の昇り龍
護身術指導

『なぜお前がここにいる……』

「若のいらっしゃるところなら、どこへでも馳せ参じる心づもりですから」

『……………』










一週間前、職員会議にて、風紀委員提案の護身術指導及び風紀委員増員が認められた。

しおらしい態度の浜中は見物だったが(なんせ、自分自身に規制をかけるようなモンだ)、何より、可決へのスピードに驚かされた。


やはり教師陣の中にも被害に合っている者や、現状を良く思わない者がいるらしく、生徒からの募集を募りつつ、まずは教師陣に護身術を教えることになった。


俺は、護身術の指導を何人かの教師にやってもらうつもりでいた。
しかし、校長は「その道のプロの知り合いがいますので、護身術の指導はその方にお願いします」と宣った。

そして「その道のプロ」として連れてこられたのが………



「坂上 哲と申します。今日から毎週金曜日と土曜日の2日間、皆さんの指導に当たります。どうぞよろしく」



俺の元教育係兼付き人(現在休職中)だった。
ご丁寧に、名前も変えている。


どうやら、校長が気を利かせてくれたつもりらしい。

確かに、週末、連日で学校に指導に来るなら、テツは俺の部屋に泊まればいいし、そうなると俺の欲求不満も解消される。

だが、テツが近くにいることで、俺がついうっかり言葉遣いを間違える可能性も高くなるのだ。


………はっきり言って、有り難さ半分、迷惑半分。



『お前、ここではあまり俺に近寄るなよ』

「じゃあどうやって若の部屋に行けというんですか」


確かに。
テツが部屋に来ないと、俺の欲求不満解消にも差し障る。


『じゃあ、近所の知り合いってことで』

「万が一、私の素性がバレたら若も共倒れになる確率大ですよ」

『ならどうしろってんだ』

「そうですね………ああ、若が私に憧れたとかはどうですか?」

『なんで俺が』

「二度も襲われた身である若は、私の護身術を見て憧れを抱くとともに好意を持ち、部屋に招く。……いかがです?」

『じゃあもういいよソレで』


なんか面倒くさくなってきた。


「ではこの件についてはこれで。
ところで若?」

『なんだ』

「若を襲ったという不届き者たちを、今度紹介してくださいねvV」

『あ、ああ……』


終わったな。浜中。


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