白銀の昇り龍
-02
なにがなんだかわからない俺に対し、2人はなおも聞いてくる。
「生徒に襲われたって聞きました。ぎりぎり間に合ったそうですが、お怪我はないですか?」
そう心底心配そうに和久井が聞いてくる。
しかも、俺のワイシャツのボタンを集めておいてくれたらしい。
「その後、浜中先生に連れていかれたって聞いたんですけど、職員室にも戻ってこないし、保健室にもいらっしゃらないし、どこに行ってしまったんだろうって話していたんです。まぁ、無事そうで何よりですが。
いったい、どちらにいらっしゃったんですか? それに、浜中先生は?」
屋島は、一応心配してくれたみたいだが、俺が無事そうなのを確認した途端、好奇心がうずいて仕方がないという顔になった。
………仕方ねぇな。
心配かけたらしいし、俺にとって嫌な部分は適当に流して説明しとくか。
「じゃあ、大城先生が携帯電話で呼び出したから浜中先生がそんな分かりづらい場所までいらしたんですね」
今話したのは、俺が浜中を呼び出した方法。
簡単に説明すると、歩きながらポケットの中で浜中の携帯に電話をかけ、俺がこれから向かう場所を市原相手に繰り返し言ったのを聞かせただけだ。
まぁ常套手段といえば常套手段。
ただ、今回は浜中のケー番が学校用の携帯の短縮に勝手にいれられていたことが幸いした。
………さすがにもう短縮は解除するけど。
『はい。浜中先生が携帯に出てくださって良かったです』
浜中先生がいらしてくださらなかったらどうなっていたことか……と話す俺に、屋島がいたらんことを聞いてきた。
「で、その浜中先生は? ご一緒じゃないんですか?」
……その話、したくねぇなぁ。
めんどくさいし、知らないフリでもしておこう。
『さあ? そのうちいらっしゃるんじゃないですか?』
適当すぎる俺の返事にも、2人は納得してくれたようだった。
何はともあれ、これで一件落着、か?
「ところで、なぜ風紀委員と一緒だったんですか?」
………そっちも説明しなきゃならんのね。
■□
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!