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白銀の昇り龍
風紀の現状

俺は今、銀髪寡黙青年と向かい合って真剣に話し合いをしている。


『となると、風紀委員は全部で4人? ずいぶん少ないですねぇ』

「しかもうち1人は入院中だ」

『(理由は聞かないでおこう)やっぱり、風紀委員の数を増やして見回りをするしかないんじゃないんですか?』

「……適任者がなかなかいないから無理だ」

『じゃあ監視カメラとか』

「カメラを壊されて終わりだろう」


うーん……困った。


「俺らも一応、考えたことはあるのだけれどね、なかなか上手くいかないんだよ」


少し前に入室していながらも扉の前から動かずに会話にも参加していなかったピンク頭がやっと話した。


「……お帰り」

「ただいま。 大城先生、浜中先生は監視者付きの謹慎処分にしたから」

『ありがとうございます』

「で、何? 風紀委員の仕事について?」

「ああ。現状を改善する方法を探している」

「カメラつけても壊されてちゃお金の無駄だし、風紀委員の数を増やそうにも適任者はいないし」


手も足も出ないよねーとピンク頭は笑う。


『そんなに、生徒の大多数が今のままでいいと思っているんですか』


暴力・強姦・恐喝・身を守るためだけの愛のないSEX……こんな無法地帯のままで良いはずがないのに、それが当たり前だと諦めて受け入れてしまっている生徒ばかりなのだろうか。

もしそうなら、なんと無気力な、十代らしからぬ子どもたちなのだろう。


「そりゃあ変えたいって思っている人もいるさ。
だけどね、喧嘩ができなかったりして逆に危険な目にあう子もいるし、中には弱みを握られている子もいる。
そこそこ強くて、弱みも握られていなくて、さらに風紀をやろうなんていう生徒はごく僅かなんだよ」

『だったら、風紀をやろうという意志があって、弱みも握られていないけれど喧嘩ができない子たちに護身術を教えればいいんじゃないんですか?』


俺がそう言うと、目の前の2人は固まった。

さっきまでとは雰囲気が変わり、へらへらした顔と難しそうな顔が驚きの表情を作ったと思いきや、それはすぐに真剣な表情になる。


「誰が護身術を教えるの?」

『先生方の何人かで教えればいいんじゃないでしょうか。【戦闘専門】みたいな先生もいらっしゃいますし』

「どうやって頼む?」


今度は銀髪寡黙青年が聞いてくる。


『とりあえず、明後日の職員会議でこの件を議題に挙げるのが良いでしょう。
明後日の職員会議は、月に一度、校長先生が参加なさる日ですから、簡単には却下されないと思いますよ』

「……どうやって職員会議にかける?」

『それはもちろん、風紀委員の顧問の先生に掛け合ってお願いするんです』


そう言うと、2人は目に見えて脱力した。

風紀委員の顧問に何か問題があるのだろうか。


『どうしたんですか?』

「顧問を通して校長が出席する職員会議にかけるんでしょ?
じゃあひと月待たないと駄目だよ」

『どうして?』


なんか嫌な予感。


「だって、さっき俺が謹慎処分を下しちゃったから」



何やってんだ浜中ああぁぁあああ!!!


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あきゅろす。
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