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白銀の昇り龍
-03

トイレを出てからこっち、カチコチに緊張している教師に対し、俺は普通に話しかけている。


『音楽科の隣の空き教室にそんなに物が散乱しているなら、他の先生方にも手伝いをお願いしないといけないかもしれませんね』

「そうですね……」

『また大掃除、再来かぁ……』

「また?」

『社会科準備室の荒れようも酷かったんですよ。今じゃ綺麗だけど。だから、これから行く音楽科の隣の部屋でも同じ作業しなきゃならないのかと思いましてね。あーあ、あんときは浜中先生まで手伝ってくださって、本当に助かったんだけどなぁ』


そんな風に話しているうちに、3階に着いた。


えーっと、音楽科はと。


『ああ、あんな奥なんですね』

「え、ええ」


こりゃあリンチにはもってこいだ。

さてと。


ガラガラガラ……


『ん? 意外にあんまり散らかってないじゃないですか』

「そりゃそうだよ。だってワナだもの」

『は?』


その、声……。


『えーっ………と?』

「あはは、センセびっくりしてる」

俺の目の前にいたのは、前に忠告してきた自称情報屋。

え? 相川は?


「びっくりしちゃってるトコ悪いけど、先生ホカク」

『え』

「市原センセお疲れ。帰っていいよ」


こんな時にあれだけど、音楽教師は市原先生っていうのか。
そんなことを考えている俺は今、二人の生徒に拘束されていたりする。


「いや駄目だ」


そこに新たな声が加わる。


「たいしょー?」

「市原もここにいさせる。今自由にさせて、誰かに知らされたりしたら面倒くさい」


大将って……


『君、誰ですか』

「…………3Aの矢崎だ」


3A?


『ってことは相川は今日は……』

「いないな」

「相川たちとうちは敵対関係でねー、だから相川たちを出し抜いて、先に先生にチョッカイしちゃおうって話になったのー」


待て待て。頭が追いつかない。

とりあえず、わかるのは。


『私、貞操の危機?』

「だーいせーいかーい!!」


うわぁ……。


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あきゅろす。
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