白銀の昇り龍
生徒からの忠告
「ねーねーセンセ?」
授業終了後に、1人の生徒が話し掛けてきた。
見てみれば、それは少し変わった雰囲気を持つこのクラスの生徒だった。
背の高い彼は、俺より1、2cm高い、かなりの痩せ型だ。
そのクセ骨格は多少ガッチリしているので、余計痩せているのが目立つ。
同じ視線だと相手の目が見えないぐらいに伸ばされた前髪とそのキャラに似合わない喋り方が、怪しさを倍増させている。
はっきり言って相手にしたくないタイプだが、あくまで相手は生徒だ。
相手しないわけにはいかないだろう。
『なんでしょう?』
「センセのクラスのさぁ、相川? だっけ。アイツが、センセ相手に良からぬこと考えてるよ」
『………本人から宣戦布告されているので、別に驚かないです』
「内容、知りたくない?」
『袋叩きとか、そういうのでしょう?』
「もっと悪いよ?」
フルボッコよりもっと悪いこと…………あー。わかった。
『………一応、聞いておきましょうか』
「ゴーカンしてマワすって。ついでにソレ撮影して上映会だとか」
『………悪趣味ですね』
考えることが悪趣味すぎる。
「アレ? センセ意外と冷静?」
『ええ、まぁ。予想してなかったわけでもないですし』
それに、最終的には力でねじ伏せればいいし?
「なんだ〜。じゃあ、決行日も聞いとく?」
『………君はなぜ、私にそんなことを教えてくれるんですか?』
「………センセー今、質問イッコ飛ばしたでショ?」
『私にそのような情報を与えている時点で、アッチ側の人間じゃないことは分かっていますから』
「…………意外とキれるんだね、先生。
いいよ、教えてあげる。俺は情報屋……みたいなことをやっている。んで、先生は初回サービス。次回からはそれ相応のモン貰うから」
ああやっぱり。今までの喋り方はカモフラージュか。
『どんな物ですか?』
「情報の大きさにもよるなぁ。例えば……そうだね。先生を一晩好き勝手できる権利とか」
『…………私相手にヤれるんですか?』
「……センセの背中から脚にかけてのライン、絶品だと思うし。ナかせるだけでも楽しそう」
『ああそう……』
なんかもういいや。
コイツの口調も元に戻ったし。
『で、話はそれだけですか?』
「ん? まぁね。って、センセ、俺に決行日とか解決方法、聞かなくていいの?」
『だってそっちは有料でしょう? 嫌ですよ、そんなことで合意だとか言ってヤられるのなんて。相川くんたちについては、自分でなんとかしますので。ご忠告どうもありがとう。それでは』
俺はさっさとその場を離れたが、背中越しにソイツが静かに笑ったのを感じ取った。
……あいつはいったいなんなんだろうか。
しっかしまぁ、相川もめんどくせぇこと考えるよな。
あーあ、一体いつ仕掛けてくるんだか。
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