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白銀の昇り龍
生徒たちとの交流

教壇を降りたはいいが、そこで杉原に呼び止められた。


「え、センセは?」

『私は仕事です。このクラスの半分弱の出て行っちゃった人たちのためのね』


俺がそう言うと、みんな一様に首を傾げていたが、おとなしく言われたことをやりはじめた。





生徒たちが作業している間、俺は出て行ったガキ共に配るはずだったプリントの整理。

一人分ずつまとめ、ホチキス留めして名前を書いてやり、教科書とともに机の中に入れていく。

因みに小学校とは違い、教室内に教員用デスクなんていうものはないので、作業は出て行った生徒の机で行う。

使っている机は一番後ろだったので、教室全体が見渡せるという特典つきだ。


作業が終わったので、顔を上げて生徒の様子を観察。

そこに広がる光景 ―― 赤やら緑やら黄色やら白やらの頭をした不良どもが、真剣に委員決めをしている ―― は、なんとなく異様だ。
………なんだってコイツらは不良なんてやっているのだろうか。

……謎だ。


そのうちに意見がまとまったらしく、みんなして俺の方を向いてきた。


「「「紅ちゃん終わったー」」」



…………さいですか。

ってヲイ。


『教師を何て呼び方するんですか!!』

「んじゃオーシロ」

『なお悪い!!』

「いーじゃん【紅ちゃん】で!」


そう嬉しそうに言う杉原。


武闘派極道の跡継ぎである俺が、【紅ちゃん】。

まさかそんな呼ばれ方をされることになるとは思わず。

………なんだか脱力してきた。


『もう、好きに呼んでください』


この瞬間、俺は自分が担当するクラスの半数の生徒に【紅ちゃん】と呼ばれることになった。


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あきゅろす。
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