白銀の昇り龍
いやいや俺は穏やかな先生(暗示) vol.2
だが、ここでキレてはいけません。
いや、今までだったらとっくの昔にキレてんだけどね。
今の俺は【先生】だから。
『私が返事をしなさいと言っているのですから返事をしなさい。それぐらいできるでしょう?』
ガタンッ
その途端、相川がデカい音を立てて立ち上がった。
そのまま俺の目の前まで来て、胸元のワイシャツを掴み、睨み上げてくる。
「センコーのくせにいちいち俺らに指図すんなや」
おーおー。ドスきかせてんねぇ。
『俺【ら】? 今のところ君一人でしょ?』
相手脅すならそこんところキッチリさせてからにしなくちゃ。
「てめぇ………軟弱ですぐ泣きそうだから優しくしようと思ってたが。覚えてろよ!!」
悪役のようなセリフを残して出て行く相川。
そしてその相川に続いて出て行くクラスの半分弱の生徒たち。
んで。残った生徒に目を向ければ。
『………なんですかその目は』
見せ物パンダじゃねぇぞコラ。
「いや、相川にあそこまで言う先生ってなかなかいないから。新任なのに、センセすごいねー」
井坂だ。目をキラキラさせている。
『………それは誉めてるんですか、貶してるんですか?』
「誉めてんのー。あーでもセンセ、今週中に退職届け出すことは決定事項だけどね」
なんだそりゃ。
ひとまず、残った生徒の出席を取り、出て行った生徒は欠席扱いにした。
『さて。これからプリント類を配りますが、如何せん配布物がたくさんありますので、呉々もなくさないように』
そう言って、年間予定表をはじめとしたプリント類と教科書を配る。
だけど、今クラスにいるのは15人ちょい。
残りの10人前後の生徒が不在なため、配布物を配布しきれない。
ついでに言うと、生徒が全員揃っていないのに委員決めもやらなければいけない。
………まぁいいか。いなくなった奴らが悪い。
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