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白銀の昇り龍
若とオヤジ

「若、組長がお呼びでございやす」



今思えば、うちの下っ端が部屋に来てこう言ったのが全ての始まりだった。



『ああ、ご苦労さん』



その時の俺は、敵対していた西條組との件についてなんか言われるのだろうと、軽い気持ちでいたんだ。



『オヤジ』


「ああ、来たか。ベニ」


『…………俺に紅雅(コウガ)という名前をつけたのはオヤジだったと思うが?』



「紅」の字だけで呼ぶんじゃねぇ。
呆れを見せた俺に対し、オヤジはただ笑っているだけ。



『で?』


「お前、社会科の教員免許を持っていたな?」


『ああ』


「高校の?」


『中高の』


「なら問題はない。お前、2週間後から高校で先生してこい」



…………………は、はあ?!



『ちょっ、どういう意味だよ!』


「そのまんまじゃ。儂の知り合いが校長をやっている学校があってな。そこの生徒は非常に素行が悪いらしい」


『……まさか』


「ああ、教師陣の手に負えないから、助っ人として1年間、学校改革のために来てほしいんだそうじゃ」


『………拒否権は』


「あるわけないじゃろ」


『………組の仕事は』


「蒼空に任せておけばよかろう」


『親父も同意してんのか?』


「オヤジは儂じゃ」


『ちげーよそこでボケんなよ。若旦那のことだ』


「もちろん。自分の子に外の世界を知ってほしいと言っておった」


『………勘弁してくれよ』



こうして、任侠を掲げる極道であるはずの俺は、【弘燎高校】で1年を過ごすことがきまったのであった。


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