SS(拍手など)
まぎらわしい!
夕暮れの寮。俺は、遼の部屋に向かって歩いていた。
遼の部屋は、エレベーターからは少し離れていて、でも、その道中が俺にとっては思考の海に溺れるには丁度いいぐらいの距離だったりする。
【思考の海】だとか恰好つけて言ってみたが、まあ要するに遼と何話そうかとかどんなことをしようかとかそんなことを考える時間なのである。
いつものこの時間ならば廊下は静かで、俺はゆっくりと考え事をしながら歩けるのだが、今日はそうもいかないみたいだ。
廊下にたくさんの生徒が出ている。
しかも、その多くは俺の目的地付近に屯しているのだ。
………邪魔だな。
『おい、邪魔なんだが』
そう声をかけると一瞬で皆こちらを見て、そしてほぼ同時に皆気まずそうな顔をした。
なんだ?
「きょ、夾さま。今この先には行かれない方がよろしいかと思いますが……」
『なぜ?』
「なぜと言われましても……。佐倉くんのところに行かれるおつもりなんですよね?」
『ああ』
「ならば、なおさらおすすめできません」
『意味がわからない。どけ』
そう言って俺はその場にいる人間を押しのけ、遼の部屋の前に立った。
……ん? ドアが少し開いている。
その時、俺はなぜさっきの奴が止めたのか、なぜここにいる人間が気まずそうな顔をしたのかを理解した。
部屋の中から遼の声が聞こえるのだが、その声が尋常ではないのだ。
「はっ……もっと強く…!」
「こう?」
「ア、いい! ……ん」
「ねぇ遼。キモチイ?」
「あ……すっご、く…キモチイ」
「……こうしたら?」
「ひぁ…ん! そこ、そこぉ……もっと」
「じゃあ思いっきりやっちゃうね」
「あっ…つよ、すぎ……オカシクなるぅ」
『なにやってんだ!!!』
たまらなくなった俺が玄関のドアを全開にすると、そこには。
「あ、え? 夾? どったの?」
「・・・・・・」
『お前ら・・・はぁ・・・・・・』
リビングのソファの上で着衣のままうつ伏せになる遼と、その遼を跨ぐような体制をとっているこれまた着衣のままの明神。
その手は遼の背中に置かれており、どっからどう見ても、マッサージの最中だ。
「どったの夾?・・・んあ!」
フルフル・・・
「遼、ここは?」
ピキッ・・・
「ん・・・・・・もっと、もっと上」
ブチッ!
『妙な声出すんじゃねえぇぇぇ!!!』
まぎらわしい!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ついにやってしまいました! 声だけ聞くとエロシリーズ第二弾(笑)
(*第一弾は、りつさまから戴いた小説です)
この後、遼は夾に散々説経をくらい、有志は邪魔されてスネてればいいと思う。
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