アンタとオレの関係
-03
みんなが出ていってから、いかにも機嫌悪いですーという感じの夾は、俺をぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
『夾ー? 俺、抱き枕じゃないんだけど』
「少しぐらいいいだろ? お前、気持ちいいんだし」
『いや気持ちいいわけないじゃん』
女の子みたいな柔らかさはありませんー。
「………俺がお前のこと好きだから……だから気持ちよく感じて当たり前なの。しばらくおとなしく抱かれてろ」
やーべー。今、さらりと口説かれたよな、俺?
なな、なんか………すっごくハズカシいんデスガ。
「遼…?」
や、今はちょっと顔を上げないでほしいというか何というか。
「クク…お前、耳まで赤いんだけど?」
『っさいなぁ…見んなよ……』
「ホントかわいいなお前」
『かわいくないですー』
「いやいやかわいいって」
そう笑う夾の息が耳元にかかる。
なんか……恥ずかしさからかなんなのかよくわからないけど、暑くなってきた。
『夾……も、離して。俺、あつい……』
「確かに、お前も俺も体温上がってるもんな」
残念そうに、俺から上体を離してくれる夾。
俺はそのまま立ち上がって、夾の隣に座ろうとした。
だけど、腰を落ち着ける直前に夾に手を引かれて再び夾の膝に逆戻り。
唯一さっきと違うのは、座る向きが前から横になったことぐらいだろうか。
『……なにすんだよ』
「俺はお前とこうして話がしたい」
『………………』
もう何も言うまい。
「でだ、遼。そろそろ返事を聞かせてもらいたい」
うぅ………ついに来たか。
緊張するなぁ。
「だけど、その前に俺の気持ちをもう一回聞いてほしい」
『うん……』
「俺は……お前が好きなんだ。【好き】とか【愛してる】とか、そんな簡単な言葉じゃ言い表せないぐらい好きなんだ。
お前が傍にいないだけでなんか足りない気持ちになるし、お前が傍にいるだけで嬉しい気持ちにも、満ち足りた気持ちにもなる。なんというか……心が穏やかになる感じだな。
とにかく、俺にはお前が必要なんだよ。お前の…全てが欲しいんだ。他の奴なんかじゃ代わりにならない。
お前が俺をどう思ってるかなんてわからないけど、でも、少なくとも嫌ではないんじゃないかと思ってる。だから……今の、仲のいい先輩後輩の関係じゃなくて、俺がお前といて安心できるように、俺が一緒にいることでお前が安心できるような、そんな関係になりたいと思うし、なれる自信も少しならある。
だから………俺と、付き合ってくれないか?」
こ、告白の域越えてる気がするよコレ。
どうしよう………俺、夾の顔をまともに見ることができない。
◆◇
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