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アンタとオレの関係
-05 (夾SIDE)

障害物競走。

遼と永作先輩は同じレースに出場するようだ。

だいぶ距離はあるが、ずっと2人で喋っているのがわかる。


………なんかムカつくな。


遼も永作先輩もとても楽しそうで。

目を合わせず、お互い同じ方向を向いて話しているその様子が、余計に仲の良さをアピールしているみたいで。

今すぐにあそこに行って、遼をさらいたい。


その目を、俺に向けさせたい。


その意志を、俺に向けさせたい。



遼のすべてを、俺に向けさせたい。




遼のすべてを、俺のものにしたい。





それでも。

俺は、遼を待とうと決めたから。

もうそろそろ限界が近いけど、な。


だから。

今は、気持ちを、想いを伝えているぶん、周りよりはリードしているのだと自分に言い聞かせて。

とりあえずは、遼を見守ることに決めた。



そうやって自分に言い聞かせながらも、始まったレースを観戦する。

相変わらず遼はかわいくて、一生懸命なその姿までソソってマジやばい。
それは、可愛すぎる遼が悪いのか、はたまたそれを見ている俺に問題があるのか。

たぶん原因は双方にあるのだろうけれど、比率は8:2ってとこか。

黒くて綺麗な髪を靡かせる、ほっそりとした体は全身がバネで出来ているかのようで。

その姿に、みとれた。


だが、そんな夢見心地な気分は、いきなり現実に引き戻された。


ゴールする一歩手前にあるパンの一群。

遼がトップでそのままゴールするかと思ったが、パンのところでそれは起きた。


多少焦げ付いたパンの色、その太さ、そしてそれをくわえる遼。

すべてが、あの行為を連想させる。


それまで騒がしかった場内が嘘みたいに静まり返る。


その場にいる全員が、遼を見ているようだった。


やめろ。これ以上、その姿を衆目に晒さないでくれ。

そう思うも、遼はそこをクリアせずには進めないわけで。

焦燥感にも似た苛立ちに自然に眉間に皺が寄る。


「遼! 周りの目なんていいからさっさとパン取ってゴールしろ!」

そんな神崎の声に内心頷きながらも、その神崎が今の遼を見ていること自体が気に食わない。


一方、遼は、既にパンを取り終えた永作先輩に何事か囁かれたようだ。


突然、パンを真剣に見だし、次の瞬間には食いついて、引きちぎるようにしてパンをゲットしていた。

その途端に観客席がどよめく。

「あ…あれは痛いわ」

「今なんか急に寒気が……」

「俺、萎えた」


観客席からの様々な声は、やはり先ほどの遼の行動をあの行為に見立てていたことを伺わせるものだった。

そのことに不満が募るが、とりあえず、一番いやな状況は脱したわけで。


遼は遼でもう、もぎ取ったパン片手に爆走している。

永作は既にゴールしているが、遼が2位なのはもはや決定だった。


………帰ってきたら、思いっきり労ってやろ。



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あきゅろす。
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