アンタとオレの関係
-02 (SIDE YUSHI)
交流会。俺のペアは元陸上部の3年、永作衛。
ぶっちゃけよく知らない人なんだが、邪な考えがあって俺に近づいてくる人種とはタイプが違うように思ったのでペアを組んだ。
今は1ヶ月前にもいたホテルにいる。
ここに来るまでのバスも、昼飯の時も遼とは離ればなれだ。
春山からの連絡によれば、遼のペアはあの会計らしい。
【職権乱用】って、こういうことを言うんだよね?
そうして遼に会えないまま、鬼ごっこが始まった。
時間が経てば経つほど、逃げる人数:追う人数は前者の割合が減るので、最初のうちは隠れていた方が得策だ。
そう永作先輩に伝えれば、
「お前、最後まで残るつもりだったんだ!?」
と驚かれた。
『だって、食堂利用カードが欲しいっていうから…』
「………誰が?」
『遼が』
他の奴のために俺が動くわけがない。
すると、先輩は少し嫌そうな顔をした。
「遼って、転入生の佐倉遼だろ?
それぐらい、自分で取らせればいいんだよ。お前に取らせて自分は楽しようとしてるだけだろ?」
あんまり運動神経よくなさそうだし、と先輩は続けた。
……?何言ってんだ?
『遼は、自分で取る気満々だよ?』
「……は?だって、交流会のペアだって未決定だったじゃないか」
ああ、なるほど。この人は、遼がやる気がなくてペア未決定だったと思っているのか。
『それは、違うよ?』
遼のためにも、俺はペア決定期間の話をした。
遼は、上級生に知り合いがいないこと。
ペアになるなら一緒に勝ちに行ける相手を探そうとしていたこと。
何人もが遼にペアの申し込みをしてきたものの、遼のお眼鏡にかなわなかったり、かなったとしても俺たちが危険だと判断して断らせたこと。
俺の話を聞き終わった先輩は、「遼くんはこの交流会を存分に楽しもうとしているんだな」って、遼に対する見方を変えてくれた。
だけど。
「遼くんが自力で取るなら、有志が頑張る意味ってあるの?」
あいたた、痛いトコ突かれた。
『…………わかんない。けど、遼だって取れるかどうかわからないし』
俺はいざという時の保険、そう言えば、
「過保護だなぁ…有志は、随分と遼くんに入れ込んでるんだねぇ?」
いいじゃんべつに。ほっといてよね。
「ひょっとして、俺がペアを申し込んだ時に即OKしたのも……」
『アンタとなら勝てるかなって』
「………俺を遼くんに紹介する手もあったよ?」
『アンタそれなりにタッパあるからいざという時に遼が勝てないかもしれないじゃん。だからダメ』
「……警戒されてたわけねι」
『でも今なら紹介してもいい』
「そりゃどーも」
開始から2時間余り。そろそろ退屈してきた俺たちは、移動を開始した。
森の中を歩くこと十数分。
人の気配がした。
大きな木の根の下の窪みを注意して見てみれば、そこには大好きな人と俺の天敵がいた。
◆◇
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