アンタとオレの関係 -03 (SIDE KYO) 生徒全員がバスに乗ったか確認していたため、俺は誰よりも遅くバスに乗り込んだ。 座席表なんざ見る必要はない。ペアが誰かを調べる必要もなかった。 ペアを決めたのも俺なら、1〜5号車の座席を決めたのも俺。 この日のために生徒会の仕事を頑張った。 だから、これは俺へのご褒美。 目指すはバスの最奥。そこには生徒たちの注目を浴びながらも寝こける彼がいた。 ヤーベ。可愛いんデスけど。顔がニヤけそうになる。 俺が席に座ったことを確認して、バスが発車する。 隣の席の華奢な身体を慎重に動かして、膝枕をした。 ついでに、風邪をひかないように俺の上着を掛けてやる。 眼鏡を外した顔を見て、やっぱり綺麗だと思った。 髪に目をやれば、相変わらず緩く結っている。 …………どうせ、後でやり直すことになるんだ。 そう考えて、ゴムを引っ張った。 綺麗な髪が散らばる。 いつも、こうしてりゃいいのにな…。 手触りの良い髪を梳いたり、細い腰に手をやったりして楽しんでいると、遼が身じろぎした。 顔を覗き込むと、目は開いている。 声をかけると眠そうな声で返事が返ってきた。 こんな普通のやり取りが、嬉しい。 だが、目が覚めた遼は俺を見てまた役職名で呼ぼうとした。 それが気に入らなくて、『名前で呼ばねぇとその都度キスすんぞ』と脅せば、名前に不本意そうに【センパイ】とつけて呼びかけてくる。 しかも、コイツは俺がペアなのが気に入らなかったようだ。 ……普通は、俺とペアになろうと必死になるもんなんだがな。 そのまま、遼はまた寝てしまった。 今度は窓に寄っかかって。 その体勢を俺が許すはずもなく、遼に再び上着をかけてやった上で抱き寄せた。 今は、これだけでも満足だ。 ………今は。 ◆◇ [戻る] |