アンタとオレの関係 -02 SHRが終わって、俺の席の周りには黒い人だかりが。 まぁこの学校は進学校だし、編入生自体が珍しいのはわかってたことだから、多少のことは覚悟してたけど。 それにしても、この人数は多すぎる。 人混みで軽く酔えそうなぐらいだ。 っていうか、そんな一気に自己紹介されても覚えきれないってば。 「佐倉くんさ、カワイイよね。遼ちゃんて呼んでいい?」 「遼くん! 好きな食べ物は何? 僕、今度作ってくるよ!」 「ハイハイ! 俺、1‐Bの鈴木っていうんだけど、ズバリ! 佐倉くんはタチ? ネコ? どっち?」 ……………他のクラスの奴まで来てるし。 自分のクラスだけでも精一杯だってのに、この状況。 マジ俺の記憶力的にムリなんだけど。 むしろ覚えろって方が酷だ。 それに、質問内容が意味不明。それまでの会話はスムーズに行ってたのに、最後に質問されたその内容がわからなくて、困ってしまった。 太刀と猫って何。 しかも俺が太刀か猫か聞いてきてるんだよなコレ。 まず俺は生物だから太刀じゃないし、175cmの長身な男子高校生が「猫みたい〜vV」だなんて言われるわけがない。 じゃあ何か他の意味があるのか……いやわからん。 いっそ質問してきたこの人に聞いてみるか。 いや、実はこの二つの単語は常識単語だったりするのかも。 編入初日から「うわ〜お前そんなことも知らないのかよだっせー」とか言われたくないしなぁ。 かと言ってこの人混みから抜け出るためのうまい口実を、俺は持っていない。 うわ〜……どうしよう!!? そんなとまどう俺に天の助け。 「遼ー、次移動教室だぞー」 間違えた。先ほど友人になったばかりの健ちゃんの助け。 た、助かった! 『んーわかったー。……とりあえず、みなさんこれからよろしく!』 なんか急に静かになっちゃって、居心地悪かったから、早々に俺は逃げ出しました。 健ちゃん、そのピアスの量はいただけないけど、今の俺にとって君は救世主だ! もちろん、俺を待っててくれてた蒼太と和巴も! その後、俺は何事もなく4時間の授業を受け、昼休みに突入しました。 平和っていいね! ◆◇ [戻る] |