アンタとオレの関係
-12
『ハァッ…ハァッ…ハァッ…きょ、う……』
「なんだ?」
『ど、なった……?』
「今、審査中だ」
今、俺は夾に抱きかかえられている。
隣では永作先輩が足を投げだし、両手を後ろについて頭を反らせて苦しそうに息をしている。
『も、はなし、て?』
ハズいよ……コレ。
なんだって、運動場のど真ん中で男同士で抱き合わなきゃいけないんだよ。
「嫌だ」
……ハイ?
『え、【嫌】って…?』
「俺はお前と少しでもくっついていたい」
「俺の気持ち、知っているだろう?」と耳元で囁かれた俺の顔はおそらく真っ赤だろう。
『知ってる、けど…でも……』
「ひと月近く返事を返さないお前が悪い」
『んぁっ……』
み、み……耳!! ベロンってぇ!?
『な、な、な……』
んで、なんでコイツも顔が赤いんだよ!!(正解:遼の声に反応したため)
「っ/// なん、だ?」
『なにすんだよーっ』
それはもう絶叫しそうな勢いで。
だけど、実際に出たのは掠れたものだった。
「チッ! ここじゃ外野がうるさいな……遼」
『な、に……?』
「今夜、俺の部屋に来い。エレベーターに乗ったら【通話】って書かれたボタンがあるからそれを押して。部屋は1007だ。」
「逃げるなよ?」という言葉とともに夾は離れ、代わりに俺は健ちゃんの腕の中にいた。
「周りの奴らを煽るようなこと、やめてもらえます?」
「牽制になるからいいだろう?」
「チッ! ……遼」
『んあ?』
「大丈夫か?」
『うん! あ、健ちゃんも夾もお疲れー!!』
「「お疲れ!」」
グイッ
『ぅおわ?!』
「遼ー俺にも」
『ゆーしもお疲れ! ってお前、そんなにくっついたら俺かなり汗かいてんのに、気持ち悪くないの?』
「くないの」
や、やべっ! 【くないの】とかマジかわい!
『ゆーし〜vV』
「りょう〜vvV」
抱きっ!!
「「ってコラ」」
『ぐぇ』
とその時、場内放送が入った。
《ただ今のリレーの結果をお伝えします》
それまで騒いでいた俺らは一気に静かになった。
みんな一様に空(クウ)を見つめて、放送の次の言葉を待っている。
《写真判定の結果、選抜リレーの1位は……A組となりました。E組は2位です》
「「「ぅおっしゃー!!!」」」
放送が結果を告げると同時に、A組席が吼え、俺たち選抜組もガッツポーズを取った。
「遼ちゃんサイコー!!」
「A組バンザイ!」
いろんな言葉が飛び交う。
俺は今、初めて。
この少しおかしな集団も普通の高校生なんだなーなんて思いました。
◆◇
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