アンタとオレの関係
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広い運動場に作られた2つの列の片方の最後尾で、俺はうずうずしていた。
走りたくてはしりたくてたまらない。
永作先輩にリベンジしたいっていう気持ちもあるけれど、それ以上に、ただただ純粋に走りたい。
そんな俺を、横にいる永作先輩はおかしそうに見ている。
この団対抗選抜リレーは、1周200Mのトラックの半分を走ってバトンを繋ぐ。
ただし、アンカーのみトラック1周。
選手は1クラス15人だから、最初飛ばしていても後から抜かれるなど、全く予想できないらしい。
始まりのピストルが鳴った。
Aのトップバッターは有志だ。
有志は足が速いハズなんだけど、一緒に走っている人が陸上部やサッカー部なだけあって、だいぶ苦戦している。
2位でなんとか健ちゃんにバトンを渡した有志は全力疾走して疲れた模様。
1位はD組で、その第2走者は春一先輩だ。
健ちゃんが春一先輩を追い上げて、二人はほぼ同時に次にバトンを繋いだ。
そんな感じで抜きつ抜かれつしていたが、第7走者あたりからAの雲行きが怪しくなってきた。
『ちょ、いつの間にか最後から2番目走ってるんだけど!』
「Aは頭脳勝負のクラスだからね。なかなか人員が揃わなかったんでしょ」
『え? そうなの?』
「明確な区切りはないけど、特色としてはそうだよ」
『んじゃあもしかして、先輩のクラスは……』
「いや、ウチは勉強がそこそこできて、スポーツに長けた生徒が集まるクラスって言われてる」
さすがにスポーツオンリーのクラスとか作っちゃうと不公平でしょ、と先輩は笑った。
因みに俺たちは準備運動中。
だって、ただ並んで順番待ってるだけにしては退屈だし。
そう話している間に、Aは最下位になった。
因みにEは1位。
「あちゃー、これじゃ遼くんと勝負できないや」
『………………』
そんなんは嫌だ! という願いが通じたのか、第13走者が頑張って4位にまで追い上げた。
そして。
『「そろそろ行きますか」』
俺たちもスタート地点に向かう。
一方で、Aの走者は夾になった。
見事なまでの追い上げを開始。あっという間に3位になり、2位争いを始めた。
しかも、1位との差もそんなにない。
夾がゴール手前5Mまで来たときに永作先輩が「お先」という声と共にスタート。
その直後に俺も夾から、バトンを受け取った。
さぁ、ここからは俺の舞台だ。
風を切って、飛ぶように走る。
走っている時は、風を感じて、風と自分の鼓動を聞いているだけ。
ただそれだけなのに、飛んでいるかのような錯覚に陥ることがある。
同時にバトンを受け取ったどこのクラスともわからないアンカーは既に後方にいる。
今は、目前の広い背中を追いかけている。
あと5歩…
4歩…
3歩……
2歩……
1歩………
並んだ!!
そう思ったと同時に目前にゴールが迫っていることに気づいた。
ラストスパート!!!
俺は、足にさらに力を入れ、スピードを上げた。
永作先輩とほぼ同時にゴールテープを切る。
だが、そこで止まるわけもなく。
俺は、ゴール先でタオルを持って待っていた夾の胸に飛び込むこととなったのだった。
◆◇
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