アンタとオレの関係
-03
外野は放っといて。
和巴ちゃんは俺より前に走る。
因みに障害物は、スタートしてからすぐにバットを軸に10回回り、ほどよく目が回ったところで平均台を渡る。
その後に地面に広げられたかなり大きな網の下をくぐり、後ろ向きに30M走ったら、上からぶら下がっているパンを口で取り、そのままゴール。
平均台は落ちてしまったら最初からやり直し、パンは必ず下からくわえないといけないというルールがある。
和巴ちゃんは、バットであまり目を回さなかったのか、平均台を一発でクリア、体が小さめだから網も簡単にくぐり抜けた。
そして、そんな和巴ちゃんに向かって叫ばれる「和巴さま」コール。
しかもそのコールが、どうやっているのか、吃驚するぐらい揃っている。
『和巴ちゃんコール、すごい……』
「あの子は外見はカワイイんだけど、知能レベルでも知識レベルでも頭が良いからね。親衛隊も恋愛感情というよりは、【どこまでもついていきます!】ってタイプが大半なんだ」
『それで、ああなるの?』
「ああ。よくある【自分を見てほしい!】っていうアピールの応援じゃなくて、真剣に春山を応援しているからね」
『和巴ちゃん、すごい……』
なんだか、和巴ちゃんがかっこ良く見えてきた。
「遼くん?」
『はい?』
「そんなに見つめちゃって、春山くんに惚れちゃった?」
『はい? え、そりゃあ今、和巴ちゃんかっこ良いなーなんて思ってましたけど』
「そっか。遼くんは精神的に男気溢れる人が好きなんだね……」
『なんか微妙にズレてる気が……』
いやいや、男として男らしい和巴ちゃんに憧れるというか、なんと言うか。
あれ? でもそれじゃあ和巴ちゃんの親衛隊と同じ、かな?
あれこれ考えこんでいるうちに、いつの間にか順番が来ていた。
ちょっ、和巴ちゃんの親衛隊に入ろうかとかは後回し!
このレースに勝たないとジュース奢らされる……!
それ以前に俺のプライドが……!!
というわけで佐倉遼、マジモードで行っきまっす!!!
◆◇
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