アンタとオレの関係 体育祭前半戦 -01 みなさん! 今日は、待ちに待った体育祭です! 空は快晴! うーん、体育祭日より☆ 開会式も終わって、今は個人種目。 競技は二人三脚リレー! これには和巴ちゃんと蒼太が出る。 運動のあまり得意じゃない二人だが、さすがは幼なじみ。 息ぴったりで、危うさなんて何もなく、ターンして帰ってきた。 この競技は今のところ、我らがA組は4位。 元々6位だったのを、和巴ちゃんと蒼太のペアが2組追い抜いたのだ。 そして、蒼太がバトンを渡した次のペアは……… 「「『ぶっ……!?』」」 俺に健ちゃん、有志の3人が同時に吹き出し、場内は歓声に包まれた。 そのペアとは、まさかの天王院ペア。 2人とも、ものっすごく真剣。 しかも、速い。 1組を抜かし、そのままうちのクラスは3位になった。 「遼。次、借り物競走」 『うん! 健ちゃん行こー!!』 「待って、遼くん。俺も出るから」 有志に言われて、健ちゃんと連れだって行こうとしたら、裕行会長もついてきた。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 今、俺たちは走る順に並ばされてます。因みに俺は第5走者です。 周りを見渡せば、健ちゃんは第1走者で裕行会長は第9走者。 これなら、2人のレースをじっくり見られる! ついに競技開始。 健ちゃんは1位でゴール。お題は「観戦者の腕時計」だった。 そして、あっという間に俺の番。 スタートの合図と同時に走り出し、50M先に落ちているお題の書かれた紙を拾う。 広げて中身を確認し、自分のクラスの方を向けば、俺のわんこと目が合った。 『ゆーし!』 叫びながら手招きすれば、全速力で走ってくるわんこ。 こちらに来た有志と手を繋ぎ、そのままゴール。 有志の手を引きながら、審判の元へ行ってお題の書かれた紙を渡す。 にこにこしながら俺から紙を受け取った審判だが、紙を広げて中身を確認した途端、顔が真っ青になった。 「遼、なんてお題だったの?」 『今、審判が言ってくれるよ』 コショコショと話す俺らの後ろには、他の走者が並んでいて、みんな審判の判定を興味深そうに待っている。 そして、その審判はマイクを外して俺に話しかけてきた。 「さ、佐倉くん……」 『はい?』 「君……寝ぼけてる、とか?」 『……………はい?』 「この人は、誰?」 そう言って有志を指さす。 『明神有志でしょ?』 そう言った俺の表情を見て、何か諦めがついたような審判は、マイクを自分の口元に持っていった。 《第5走者、A組に出されたお題は………「自分が可愛いと思う人」で、連れてこられたのは……明神有志くん………》 シーン…………… あれだけ騒がしかった場内が、水を打ったように静かになった。 有志は無反応。 A組メンツは「あちゃー……」って感じ。 それ以外の人たちは、何か信じられないものを見るかのように俺を見ていた。 『……ゆーしは、かわいいよ?』 そんな中、そう言った俺の声が審判の持つマイクを通して響く。 すると、審判は 《お題も「自分が可愛いと思う人」ですし、認めます。第5レース1位はA組!!》 チームに貢献できたぜ☆ ◆◇ [戻る] |