アンタとオレの関係
-03
そんな風に、悶々と思考の波間に漂っている俺の耳に「ごめん」という声が届いた。
見れば、遼が眉を八の字にして、申し訳なさそうにこちらを見ている。
「俺、有志との約束破っちゃった………本当に、ごめんね」
【約束】だなんて聞こえは良いけれど、それは俺の一方的なもので。
遼からすればいわれのない、全く利益のない、束縛でしかない。
それなのに、遼は謝っている。
『遼は……悪く、ない』
「え?」
『と思う』
うん。
俺が勝手に【約束】と称して、遼を縛り付けていただけ。
もし、俺が遼に気持ちを伝えていたら、少しは俺も何か言える立場だったのだろう。
だけど。
臆病な俺は、今にも溢れそうなこの気持ちを伝えてすらいないから。
「だけど……辛そうだったからって、それだけで…有志との約束破っちゃったのは俺だし………有志は、俺の大切な友達なのに」
【友達】という単語を聞いてショックを受けている俺は、おそらく、バカなんだろう。
そんな分かりきったことでショックを受けるくらいなら、さっさと気持ちを伝えてしまえばいいのに……まだ、心の準備ができていない。
『遼。もう、いいから……』
俺がそう言っても、まだ遼の眉は八の字のまま。
ああもう………俺は、あなたを困らせたいわけじゃないんだ。
『じゃあ………この土日は、ずっと俺と一緒にいて。甘えさせて』
そしたら、俺は満足できるから。
「わかった」
俺の目を見て、やっと微笑んでくれた遼。
そうして、交流会で疲れきっていた俺たちは、その後すぐに遼のベッドで一緒に眠ってしまったのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇第2章「波乱だらけの交流会」
- END -
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