アンタとオレの関係
回収作業
さてはて。
先生の背後から祠のちょっと上あたりを覗くようにして見上げてみる。
いたいたいた! 例のアイツ!
太陽の光の下で見ても気味悪いってどういうこと………ι
夾が何やらゴソゴソやっている。
取り出したのはリモコン……みたいなの。
それを逆さ吊りのヤツの方に向けてからスイッチを押した。
その途端、ジーっと音がして、アイツが降りてくる。
夾は、黙ったままアイツの方に行き………いや、アイツの後ろ側に回って、木の枝のところでなんか作業してる。
俺は夾のその一連の行動を、先生の背中から、しかも先生のシャツを掴んで見ていた。
「先生、手伝ってください」
「手伝いに行きたい気持ちは山々なんだけどね、佐倉くんが離してくれなくて」
先生がそう言うと、夾は初めてこちらを振り返った。
「………遼」
『う……はい』
「お前もこっちに来い」
『や、やだ!』
「……拒否は許さない」
「だそうですよ、佐倉くん」
そう言って先生は俺の腕を掴んで歩き出した。
………あるき、出した??
『え? え? センセ?』
「さて、お仕事しましょうか。佐倉くん」
にっこり、という擬音がつきそうな笑みを見せる先生。
ってちょっと待ったああぁぁぁあ!
『センセ! 俺、先生の可愛い教え子!』
「ええ、そうですねv」
『その可愛い教え子が全力で嫌がっているんデスが』
「可愛い教え子に社会の厳しさを教えるのも教師の勤めです」
ぜっっっったいに楽しんでやがる!
意外にSだったぜ、中山先生!
で、結局。
『い、いやだあぁー…………』
ズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズル……
俺は、ヤツの元まで先生に引きずられていきました。
ヤツの側を通り過ぎたと同時に。
『きょう゛うぅぅぅ……』
夾に抱きついた。
「あー、なんか昨日と同じシチュエーション?」
あー、なんか落ち着く……カモ。(←聞いてない)
「やっぱり二人は仲良しなんですね」
そこに近寄ってきた中山先生。
にこにこしているが、その手には例のアイツ。
…………駄目だ。俺、この人苦手。
その後、夾と先生は人形を綺麗にしまい、俺は人形を動かしていた機械部分を片づけた。
そして今はホテルまでの帰り道。
前方に見えてきたのは日本人形。
………自然の中にある人形って、やっぱり異質すぎて気味が悪い。
「コレも折りたたみ式か」
「すごいですね、これを作った子は」
感心したように日本人形が乗っている台をみる先生。
この人、怖いものがないんじゃ………。
こうして俺らは無事に回収作業を終えた。
◆◇
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