アンタとオレの関係
-08
祠から離れ、歩き出す。
少し歩いたところで後ろからジィーっという機械音が聞こえてきた。
不思議に思い、振り返る。
……が、振り返らなければ良かった。
あの………逆さ吊りのアイツが………微妙に揺れながら上っていくのだ。
…………嫌なモン見たι
振り向いたまま固まった俺を不審に思ったのだろう。夾が声をかけてきた。
「遼?どした?…………ってアレか。あんなモンいちいち見てないでさっさと先行くぞ………ただでさえ時間食ったんだし、後ろのペアに追いつかれるかもしれないな」
急ぐか、と夾は俺の手を握って足速に歩き始めた。
『ま…待って、夾!』
「どうした?」
『手……繋ぐより、さっきの方が良いんだけど…』
俺がそう言うと、夾は無言で繋がった手を見た。
「………このまま、さっきみたいにすればいいだろ」
………………………あ、そっか。
『なるほど。こうしたらあんまり怖くない……カモ?』
「かも、じゃない。怖くない」
『ん』
そうして俺たちは来る時とは逆に足速に歩き始めた。
俺なんか軽く小走りだ。
理由は簡単。さっきの逆さ吊りのアイツの声が遙か後方で聞こえ、ついでに誰かの叫び声が聞こえたから。
一刻も早くあそこからなるべく遠くに行きたかった。
◆◇
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