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アンタとオレの関係
-06 (SIDE KYO)

しばらく歩くと古びた祠が見えてきた。

中には色とりどりのカードらしきものが置かれている。
おそらく、アレだろう。

俺と同様、カードを確認したらしい遼が掴んでいた俺の腕を離し、祠に駆け寄った。

『遼、迂闊に近づくな………ってもう遅いか』

遼が祠まであと数歩、というところで、遼の目の前に逆さ吊りになった人形が落ちてきた。

しかもご丁寧に音声付きで。

《ギャアアアアアァァァアアアッ!!!》
「ヤダアアアアアァァァアアアッ!!!」

人形の音声と一緒になって叫んだ遼はその場に尻餅をついた。

『…………言わんこっちゃない』

俺は人形をよく見ようと近づくことにした。

「きょ、夾!!ダメだよっダメっ!」

が、遼に制止される。

『へーきだって。ただの人形なんだから』

そう言いながらさらに近づき、未だぶら下がったままのソレをつついてみた。

《ギャアアアアアァァァアアアッ!!!》
「ひゃあああああぁぁぁあああっ!!!」

これは……凄い。音声付きなだけじゃなくて…
『震えるとは……よくできてるな』

俺が人形のできの良さに関心していると、遼が泣き出しそうな声で文句を言ってきた。

「も…………夾のばかぁっ!!近づくなって、俺、言ったぁ!」

『……最初にそれを言ったのは俺だが』

誰だよ、怖いのが苦手なクセに人の忠告に耳も貸さずに駆けだした奴は。
それで案の定吃驚させられて叫んで尻餅ついた奴は。

それで俺に文句を言ってくる、その言い方とか。

…………いちいち行動と言動が可愛いんですが。どうしてくれよう。


いやいや冷静になれ、自分。

ここで無理矢理迫ったら確実に嫌われる。

今の俺がすべきことは………何事もなかったかのような顔をしてカードを一枚持ってくることだ。

俺は祠に近づき、カードを1枚取ると、未だに尻餅をついたその体勢のままの遼のところに戻った。



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