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アンタとオレの関係
-03

ジャリッ…ジャリッ…

俺らの足音だけが聞こえる静寂な空間。

辺りは真っ暗。頼りになるのは俺がしっかりと抱きしめた夾の腕とそれとは反対の手が持つ懐中電灯の光。

昼間は良い隠れ場所になりそう〜なんて言った草むらも、目印になる〜なんて言った形の変わった木や岩も、夜になり、ほとんど明かりのない今はただただ不気味だ。

ギャアッ…ギャア…

ビク――――ッ!!

「遼、落ち着け」

『だ、だって…!』

「ただの烏だろう」

『な…んで!鳥は夜目が効かないはずでしょ!』

「夜目が効かなくたって鳴くさ」

『うぅ…』

「まだ10分ぐらいしか歩いてないぞ」

『うぅ…ι』

俺たちは黙々と歩き続けた。


時おり、遠くから人の叫び声が聞こえる。
それもいろんな方向から。

その度に俺は夾の腕に抱きつく力を強くした。

マジ、怖いってι


『……………ねぇ?』

「ん?」

『なんか喋ろうよ』

じゃないと怖すぎるι

「……いいのか?」

『………え?』

「自分たちの話し声で周りの音がよく聞こえなくなるぞ?」

『!…じゃ、喋らない』

「ああ」


そこから数分歩くと、崩れかけた祠が見えてきた。

『あ、あった!』

「遼、迂闊に近づくな………ってもう遅いか」

祠に色とりどりのカードがあるのを見た俺は、夾の腕を離し、祠に向かって一直線。

だって一刻も早く帰りたいし。



だけど、祠に近づいた途端、


《ギャアアアアアァァァアアアッ!!!》
『ヤダアアアアアァァァアアアッ!!!』


「…………言わんこっちゃない」


俺は尻餅をついて、ただただ目を見開いた。

夾は俺に尻餅をつかせたソレに近づいていく。

『きょ、夾!!ダメだよっダメっ!』

「へーきだって。ただの人形なんだから」

そう言って夾がソレをつつく。
すると………


《ギャアアアアアァァァアアアッ!!!》
『ひゃあああああぁぁぁあああっ!!!』


「震えるとは……よくできてるな」


『も…………夾のばかぁっ!!近づくなって、俺、言ったぁ!』

「……最初にそれを言ったのは俺だが」


ここまで、何が起きたかと言うと……

俺が祠に近づいたとたん、上から幽霊が逆さ吊りになって落ちてきた。
いや、性格には恐ろしい形相の人形が。

しかも《ギャアア!》っていう音声付きで。

そして夾が突っつくと、今度は震えながら《ギャアア!》と声が出た。









マジ、無理。



尻餅をついたまま動けないでいる俺とは対照的に、夾は涼しい顔をして人形を避けるとその奥の祠からカードを1枚取り、俺のところへ戻ってきた。



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