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添い寝


なんだか寝れない。何故だか目が冴えてしまっている。今日は昼寝はしてないはず。明日何か楽しみなことでもあったのだろうか。いやいや、楽しみならば覚えているはずだ。思い出す必要はない。さて、私は一体どうして眠れないのだろうか。
布団で頭まで覆いさらに暗くしてみた。私は暗いほうがよく寝れるのである。さあ目を瞑って、睡魔よ来い!

(…眠れない)

羊を数えてみようか。前数えたときに200越えたくらいから訳分かんなくなったからやめておこう。コーヒー飲み過ぎたのか。…私苦いの苦手だった。楽しいこと考えると意外と寝れるんだよね。銀時とあんなことや、こんなことや、そんなことを。あは、興奮してきた。あれこれ寝れなくね。
うわもうあれだ。全部銀時のせいだ。そうに違いない。あのくるくる天パいい加減にしないとぐーで殴ってやるんだから。いらいらしながらがばっと布団から頭を出した。すると足音がゆっくりと聞こえる。こんな夜中に誰が来たのだろうか。

「え、何、起きてんの」

「あ、うん、おかえり」

「あ、ただいま」

静かに入ってくるこたなかったなァ。そのにんまり顔を見たらなんだかさっきのいらいらが少し紛れた。上半身を起こし両腕を前に突き出した。私の行動の意味を悟った銀時はくすっと笑って抱き締めてくれた。普段自分から甘える言葉を言えない私はこうして彼に伝えるのである。銀時の体は外から帰ってきたばかりなので少しひんやりしていた。けれど、なんだか温かい。とても心地よかった。もっと力を入れて抱き締めてみた。すると彼もさらに力を入れる。

「あだだだだだ!」

「うるせェ」

「銀時のせいでしょ!」

「なまえが力入れっから」

こつん。おでこをくっつけられた。あ、ちょっと格好いい。嘘。すごい格好いい。背中に回されていた腕が首にくる。ちょっぴり恥ずかしくなって目を反らすと、唇が触れた。顔に血が集まって、熱くなっていくのがわかった。
体重をかけて銀時と布団に倒れ込む。彼はいつも腕枕をしてくれるのだ。朝になったら痺れるのは間違いないのに必ずしてくれる。銀時曰わくしたいからするのだと。今日もまたいつもと同じように腕を借りた。柔らかいとは言い難い逞しい彼の腕だが、私にとってはとても優しいもの。あ、この感じ。だめだ。

「もう寝な」

「んー…」

「おやすみ」

「…ん」

おでこに何か温かいものが触れた。それが何かなんて言わずもがなわかるでしょう。自然に瞼が落ちてきて、私は眠ってしまう。けれど今の私は先程とは違って寝たくない。眠りたくない。もっと銀時と話したいのにどうして今睡魔が来るの。起きていたいのに。どうにかして目をこじ開ける。するとその目の瞼にまた彼がキスを落とすのだ。そんなことされたら、もっとして欲しくなって目を閉じてしまうじゃない。おやすみ。もう一度優しい声が私の鼓膜を揺らした。ゆっくりと私は眠りに落ちていく。せめておやすみって言いたかったな。ごめんね。朝はちゃんとおはようって言うからそれで許して。


添い寝


やっと寝れます



110207
一壱子


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あきゅろす。
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