にきび
私って意外とデリケートなんですよ。いやね、神経は図太いほうだと思いますよ。因みに夜の営みに使用する男の象徴も図太いほうがいいですね。ああ、長さも欲しい‥って失礼しました。性格的には何を言われたって気にしない。けれど気にしてることを言われるとすんごーく気になってしまう。私のお肌は脂性肌。オイリーちゃんなのだ。あぶらとり紙は手放せない。誰か京都行ってがばっと買ってきてくれないかな。
今日の朝起きたら、もう鏡見た瞬間気分はどん底。ほんと、もう、思わず二度見しました。再確認しました。だって、鼻の下に私の憎き白い生物が顔を出していたから。
「え、わ、え?」
「何度見ても消えねェよ」
「できちゃった‥」
「‥子供?」
「銀時のせいだよー!!」
「にきびの一つや二つで騒ぐなって」
ぷるぷるお肌のあんたには分からないでしょうね。銀時が昨日の夜、いや、今日の朝か‥あーもう!どっちでもいいわ!無駄に頑張るから、本当に筋肉痛になるんじゃないかってくらいにヤるからこうなったんだ。寝不足にさせるからこうなったんだ。ああもうほんとどうしよう。白にきびってついつい潰したくなるんだよね。しかも潰すと意外とすぐに治ったりするんだ。けれど跡が残るから我慢、我慢。痛い。非常に痛い。また一つ増えてしまった。しかも大きいのが。私の顔にはそんなに目立った物はなく細かいのがおでこや顎にちらちらと。けれど、こんなに大きいのは久しぶりである。私は思春期か。二十後半になって思春期か。これが中二病ってやつ?んなわけあるか。
「‥どうしてくれるの」
「人のせいにするの良くないと思いまーす」
「やかましい!」
私がどれだけお肌に気を使ってると思ってるの。まあ銀時の知ったこっちゃないけどさ。私は思わず溜め息を吐いた。鏡を見ていれば治るわけではないので、なるべく気にしないようにしよう。そう心に決めた。でもにきびが出来たのは銀時のせいだ。実際そうでなくても銀時のせい。でなきゃ私の怒りは収まらないわ。
ちょいちょい。手招きをされた。言わずもがな彼だ。私は犬か。そう思いながらも嫌と言うはずもなくいそいそと隣に座る。直ぐ近くに銀時の顔がある。だって温かいから。見上げるとぷるぷるのお肌。あ、いらっときました。つい反応してしまいました。銀時の顔がある方向とは逆のほうを向いてしまった。
「まあ、あれよ」
「何さ」
「にきびくれェいいだろ」
「くらいって‥!」
「俺は、気にならない」
「私は、気になる」
お前と甘ェもん食べれないほうが嫌だ。銀さんチョコ食べるの好きだけど、なまえと一緒に食べたいわけよ。夜だって寝かせたくないって。なまえが、その、肌気にしてるって知ってっからいつもなるべく早くを心掛けてます。まァ上手くいった試しはねェけどな。だから俺にとってらにきびくらいなわけよ。わかる?
頭の上から降ってくる声は彼の温かい声で、つい、うん、なんて言ってしまった。つまりは銀時にたくさんの我慢をさせてきたわけである。拗ねちゃって意外と可愛いところあるんだなあ。けれど、それを口に出したらまた拗ねちゃうに決まってる。だから態度で答えようと思います。次からはちゃーんと構ってあげるからね。私は彼にだけ聞こえる声で、ごめんね、と言った。
にきび
100403
一壱子
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