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まほう


もしも魔法が使えたら?そんなの決まってんじゃねェか。何回でも願い事が叶いますよう、あ、すんません。真面目にね。そういうことじゃあないんですよね。んー‥そうだなァ、月並みですが空飛ぶわ。ほら銀さんって心は澄み切った少年だからさ。体はもう中心にダイナマイトな息子、あ、まだ明るいからね。早いですよねー。
あ、じゃあこの芸術的な髪をストレートにするってのもありだな。一回見てみてェもんだ。ただ、今よりもっと見た目だけマダオになる気がする。見た目だけ、ね。中身は本当にヤる気満々ダメ男だからさ。略してマダオ。ん?これじゃあどっちにしろマダ男じゃねェか。いや、言うのと実際のとは天と地ほどの差があるからよ。現実の俺は有り得ないくらいにいい男、だよな?

いやいや、泣いてねェって。まじでまじで。今欠伸したし。見てなかったのかよ。まあどうでもいいけどな。なまえは周り見てるようで見てねェもんなァ。ぼーっと俺を通して違うもん見てっから、何見てんのかと思いきや何も見てないっつーね。ま、強いて言うなら銀さんに見とれてたってとこかな。やっぱ魔法使えたらなまえが世界で俺しか写らないようにしよっか。ん?知らなかった?俺は意外と嫉妬深いんですー。今後のためによく覚えておくがいい。今後って、お前ェなァ。もうあれしかないでしょあれですよあれ。誰がなんと言おうともあれはあれです。分かれやコノヤロー。あ、すんません、殴るのは勘弁してください。調子乗ってすんませんでした。

んー‥色々言ってっけど結局やっぱり空飛びたいと思うわけよ。飛行機とか気球とかパンジーとか、あ、バンジーか。空飛ぶ方法なんていっぱいあるけどよ、生身で飛びたいよな。一番身軽に飛びたいわけ。そんでもってずーっと高いとこまで行って雲とか触って。雲は水蒸気だから触った感触なんてないんだろうけどな。

それで、なまえに会う。

お前ェみてェな奴は星になるってよく言うだろ。きっとなまえのことだからとびきりキレイな星になってることだろうな。だからすぐに見つけられるさ。万が一ってこともあるから力一杯光って見つけやすいようにしてろよ。
馬鹿だからさ余所見ばっかしてっから、星になんかなっちまうんだ。俺の、手の、届かないところに。
なまえに会うためにどうしたらいいかずっと考えた。で、思い付いたのが空を飛ぶこと。俺の願い事だしお前にも会えるし一石二鳥だろ。これでやっと会えるんだな。

でもな、会えるのはすごい嬉しいんだけどな。何だか怖いんだ。体が震えるんだ。は、笑っちまうな。ああ、そうか。嬉しすぎて震えっのかな。きっとそうだろ。怖いなんてあるわけがない。だってなまえに会えんだから。
なまえ。背中を押してくれないか。


空飛ぶまほう


風が、吹いた



100131
一壱子



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あきゅろす。
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