Tricksters

 クリックする度に、様々な情報が目に飛び込んでくる。活動の歴史や彼ら二人の家族構成、はたまた過去のゴシップ記事まで大量に露出していた。



「世の中凄いわよねぇー……ボタン一つ押すだけで膨大な数の情報が手に入るんだから。」



 勿論それは真実ばかりではない。だから、この世界は恐ろしいのだ。寧は取材する二人のプロフィールや過去の仕事について調べた後、シャーペンを片手に彼らへの質問を考え始めた。

 調べていくと、二人はレッスン生時代からの仲良しで、その縁もあってユニットを組んでのデビューが決まったのだという。彼らはデビューして三年が経過しており、結成時から注目を浴びていた。常にマスコミが目を光らせているのも、寧自身十分に理解している。



「うーん……ファンの子達のブログを読んでると、かなり警備が行き届いてて隙がないみたいねぇ。本人達は優しいけど、マナーの悪いファンには厳しい、か……」



 頭の堅い編集社員はまず見ないだろうというブログも、寧はしっかりとチェックしていた。ファンからも有力な情報があると考えたからだ。社員歴がまだ浅い彼女には、まだまだ一般人側の考えが残っているのだろう。



「寧ー!調べ物が終わったら、さっさと先方に挨拶の電話をかける!!くれぐれも失礼のないようにね!!」

「はっ、はいー!!」



 寧は慌てて受話器を手に取ると、Trickstersのマネージャーに電話をかけ始めた。優しいが小うるさい先輩に、これ以上小言を言われないように。


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あきゅろす。
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