Tricksters

 撮影が終わり、二人はスタッフ達に挨拶をしながら楽屋に戻った。楽屋のドアには、“Tricksters様”と書かれた紙が貼ってある。



「あー……今日の撮影めちゃくちゃ楽しかったな!!やっぱ斎藤さんとの撮影は盛り上がるよ!!な、希楽?」

「……お前はいつも、無駄にテンション高いんだよ。まぁ、俺も斎藤さんとの撮影は好きだけどな。あの人、モデルの魅力の引き出し方っつーの?よく分かってるよな。」



 二人は笑い合うと、それぞれ雑誌を手に取って読み始めた。どうやらコンビを組んでいると言えど、適度な距離を保っているらしい。



「……そう言えばヤス、知ってるか?」



 希楽が突然言った。和洋は、「ん〜?」と言って反応を示したが、依然として雑誌から目を離さない。彼が大好きなファッション雑誌に目が釘付けである。



「この雑誌、読んでみろって。」



 希楽は和洋が雑誌を読んでいる側から、別の雑誌をズイッと彼に突き出すように渡した。これには和洋も、自分が読んでいるものを中断させざるを得なかった。


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