Tricksters
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やがてお開きの時間がやってきた。寧は腕時計にパッと目をやり、話を締めくくりの方へ持って行く。
「……では、二人の夏のコンサートには期待大ということで、今日の取材の締めとさせて頂きます。本日はどうもありがとうございました!」
寧はICレコーダーのボタンを押す。三人を現実世界へと引き戻すピッという音が、静かな室内に響いた。
「二人共お疲れ様。記事が出るのは約一ヶ月後だから、ちゃんとチェックしてね!」
「はーい。ていうか、先月受けた初取材の記事も最近見たばっかりなのにね。俺ら忙しいなぁ……」
和洋が小さく笑うと、希楽も微かに頷く。「売れっ子だから仕方ないだろ」という言葉と共に。
「じゃあ、私はここで失礼します。帰って構成練らなきゃいけないし!」
手早く片付けをした寧が席を立った時、希楽の「まぁ待てよ」という声が響いた。「時間が……」という寧の主張を無視して、希楽はゆっくりと彼女に歩み寄る。
「久し振りに会ったんだし、ちょっとくらい遊ばせろよ。」
ニヤリと笑う希楽。寧の頭には約一ヶ月前の出来事がフラッシュバックした。
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