Tricksters
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「……敬語要らないよ。」

「えっ?」

「敬語、要らないから。仕事以外の時は俺らが許可する。」



 小さく笑う希楽が目の前の椅子に腰かけている。彼の言葉を理解するのに数秒かかった。



「い、良いの?」

「おう。許可してやってんだから喜べよ。」

「ていうか寧ちゃん、早速タメ口になってるし!そのノリでオッケーだから!!」



 同じく、目の前の和洋がニコニコと笑う。初めて対面した時も、確か二人共こんな眩しい笑顔だった。寧は無性に嬉しくなり、自然と笑みを返していた。



「……あ、俺らの玩具だってこと、忘れんなよ?」

「……はい……?」

「希楽、話変わりすぎだって。とりあえず取材してもらおうぜー!」



 機転の利いた和洋の言葉で、再び取材がスタートした。先程よりも明らかに雰囲気が良い。険悪だった空気は何処かへ流れてしまっていた。

 三人の間には、つい一時間前には浮かばなかった笑顔がある。楽しそうに受け答えする希楽と和洋に、微笑を浮かべて頷きながらそれをメモする寧。取材というのはこういうものだったと、寧は改めて嬉しくなったのだった。


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