Tricksters
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「がっかりさせたならごめんなさい。私もあなた達には少し失望してたけど……そう言ってもらえるなら、この仕事最後までやってみます。
絶対に、“私と仕事して良かった”って思わせますからね!私が本業にしたいのはゴシップじゃないってことをちゃんと理解してもらうんだから!!」



 二人は面食らった。彼女の言葉こそ最も驚くべきものだったのだから。犯されてまで一緒に仕事をするという人は、まず居ないだろう。不可抗力でそうなったとしても、何らかの形で距離を置こうとするものだ。

 しかし、寧は全くその素振りを見せなくなった。彼女の仕事に対する情熱というものを見せつけられた二人は、“世界の違い”を初めて感じた。年はそう変わらないのに、仕事に対する意識が違うのだろう……と。



「……あの、黙ってないで何か言って下さいよ。私、沈黙って苦手なんですけど……」



 寧の言葉で、二人はやっと我に返った。目の前に居る女への認識が徐々に変わる。希楽はこいつはただ者ではないなと思い、和洋には光を纏っているようにさえ見えた。

 やがて二人は顔を見合わせる。数秒間の後、二人同時にフッと笑った。


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あきゅろす。
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