Tricksters
13
「……誰のネタを掴むって?」

「えっ!な、何っ!?」



 気付けば背後に人の気配。視界の端に入ったのは、先程の金髪男が腕にしていたシルバーストーンのブレスレットだった。



「……ヤス君……」



 両側を彼の両腕で遮られ、身動きが取れない。彼に背中を向けているが、振り返ることさえ出来やしない。社員との通話を聞かれるなんて大失態だ。周りをよく確かめなかった自分の不注意さを激しく恨んだ。



「……おいヤス。その女、どうする?」



 廊下に響くもう一つの声。ハスキーなその声色は、紛れもなくついさっきまで聞いていた声だった。



「希楽君……これはそのっ!」

「言い訳する奴って好きじゃないんだよな。悪いけど、ノコノコ出てきたことを後悔させてやるよ。」



 恐怖の鳥肌が立つ程の希楽の言葉の後、くるりと体を反転させられた。目の前には冷たい表情をした二人。しかしその顔は、何か新しい玩具を見つけた子供のように変わっていく。

 片腕ずつ彼らに掴まれた寧は、そのままズルズルと連行された。何処へ行くのかは、全く分からない。


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あきゅろす。
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