Tricksters
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 “甘いケーキにはスッキリとしたダージリンだな”と、寧は鼻歌を歌いながら準備を進める。小さなポットでお湯を沸かして、まずは四つのカップを温めるために熱湯を注ぐ。それからポットに水を足して、再び沸騰させた。

 カップの中のお湯を捨て、新たに注ぎ直す。今度はそこにティーパックを入れ、小皿で蓋をして数分蒸らす。こうすることで、おいしく出来上がるのだ。

 寧が先程の部屋に向かうと、既に市ヶ谷が帰ってきていた。「グッドタイミング!」と言った和洋の隣まで行き、みんなにカップとフォークを回す。紅茶の良い香りに、男三人は目を細めた。



「希楽君もヤス君も伊藤さんも、今日はありがとうございました!お三方のお陰でスムーズに終わって、本当に助かりましたよ。」

「こちらこそ、撮影を引き受けて下さってありがとうございました!あの、堅苦しいことは抜きにして、いただきませんか?」



 寧の言葉に、「そうですね」と苦笑する市ヶ谷。そんな彼を笑い、希楽と和洋は「いただきます!」と言って手を合わせた。

 ――束の間の休息を取り、夜間の撮影で遠方に向かうという市ヶ谷を見送った三人。和洋達にこれからどうするのかと尋ねられた寧は、「勿論、記事のレイアウトを考えるために会社に戻るのよ」と微笑した。和洋が不満げな顔をしていたため、「もう少し居れば?」と希楽が笑う。少しだけならと了承した寧は、その前にお手洗いに行ってくると告げて、一旦席を外した。


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